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シリーズ「21世紀の実像」

NATIONAL GEOGRAPHIC 日本語版

中国、変化の先に何がある?

“無鉄砲”な土地開発

 中国各地の工場町は、別世界から突如として出現したようで、どこか現実離れしている。何より驚かされるのは、そこに生きる人々のバイタリティーだ。大胆不敵な起業家、忙しく働く建設作業員、そして若い出稼ぎ労働者たち。誰もが皆、厳しい過去を乗り越えて鍛えあげられている。彼らの家族は毛沢東時代の貧しさを忘れてはいない。その一方で、ここ数年、多くの中国人が生活水準の向上を実感しているし、なかには、大幅に良くなった人もいる。苦しい過去を乗り越え、今、大きなチャンスを目の前にして、中国人はやる気に満ちているのだ。

 だが、将来についてじっくりと考える中国人は少ない。長年にわたる政治的混乱の末、国民は、何事も永遠には続かないことを学んだ。そのため起業家は大胆で向こう見ずになったが、同時に目先のことしか考えなくなった。共産党も同じだ。改革を進めるなかで、権限を地方に分散した結果、中央政府は監督機能をほとんど失った。

 その一方で、多くの地方政府が財政的な自立を求められ、不動産取引によって財源を確保するようになった。市政府が農地の土地使用権を買いあげ、インフラを整備して開発業者に売るのもその一つ。経済学者たちの推定では、地方都市の歳入のおよそ5割がこうした取引によって賄われ、“無鉄砲”な土地開発が各地で行われている。

 地方の党幹部たちは職権を利用して私腹を肥やす機会を決して見逃さない。「5年ごとに地方政府の幹部は代わります」と、中国社会科学院の経済学者、汪利娜は語った。「だから、チャンスは在任中だけなんです。彼らが次世代の指導者たちのことを考えるかですって? 任期中に富を蓄えるのに必死で……」
 

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荒れた男性の手の中で、1羽のユキスズメがうずくまる。北京とラサを結ぶ全長4000kmを超す青蔵鉄道の敷設作業中に、彼はこの鳥を捕まえた。はかない自然と、拡大する現代技術が交差した瞬間だ。
写真=フリッツ・ホフマン (c)2008 National Geographic
 

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