システム受託開発,ECサイトの運営,Flexアプリケーションの開発などを手がけるファランクス。事業領域の一つであるアフィリエイト・サービスに“電話”を盛り込み,ブログの広告を見て電話をかけてきたことに対し報酬を支払う「電話アフィリエイトサービス」として提供している。そのサービス基盤で活躍しているのがAsteriskだ。
![写真●ファランクスの大橋功代表取締役社長](/contents/001/534/365.mime4) |
写真●ファランクスの大橋功代表取締役社長
|
事業領域に電話システムの開発を加えた理由は。
私はインターネット畑で技術を手がけてきたが,1年半くらい前から「電話は面白い」と感じていた。電話の数字だけで完結する簡単なインタフェースと音声で通話できる機能,通話を転送したりログを残すといったPBX(構内交換機)の機能を分解して,既存のインターネットの仕組みにうまく合体させたら,新しいソリューションを生み出せると考えた。
当社はWeb系のシステム開発を手がけているが,こうした会社で電話のコール・センターのような仕組みも作れるところは,最近でこそ見かけるがまだ珍しいと思う。こうした経緯から,Asteriskを使ったシステム開発を手がけるようになった。
電話をアフィリエイトと組み合わせたとのことだが,どのようなものか。
当社が手がけるビジネスの一つに,アフィリエイト・サービスの「Ad-Link」がある。以前から「(Webのバナーをクリックして表示された番号に)電話をかけてきてくれて,一定時間話をしてくれたらいくら払う」というモデルがあってもいいはずだと考えていた。
アフィリエイトに参加しているブログを見たユーザーがバナーをクリックしたら,ページを切り替える前に当社のシステムがクリックした情報を基に動的に電話番号を割り当てて,その番号をユーザー対して表示する仕組みだ。つまり着信先の電話番号から,どこのブログのバナーを見て電話をかけてきたかが分かる。電話番号は,サービス側であらかじめIP電話の番号を多数取得してプールしている。この仕組みをAd-Linkに追加したのが約1年前だ。
この仕組みは「Ad-Link電話アフィリエイトサービス」として提供している。また,このシステムをほかのアフィリエイト業者にレンタルして,相手先ブランドで提供できるようにするビジネスも展開している。
そのサービスでAsteriskはどのような役割を果たしているか。
電話番号の管理と通話転送に活用している。アフィリエイトのバナーをクリックしたユーザーは,表示された番号を見て電話をかけてくるが,ファランクスが運営するAsteriskサーバーはそれをまず着信。そこからクライアント(広告主)の代表電話番号に転送する。課金システムとも連動しており,これにより「Asteriskのサーバーに○秒以上の電話が△件かかってきたので◇円払う」というビジネスモデルを実現している。Ad-Link電話アフィリエイトサービスの料金は,「広告主のサイトがブロガーに支払う金額のだいたい3割くらい」が目安だ。
日本は海外と異なり,「電話の問い合わせを,誰がいつ,何を見てかけてきたのか」をログに残し,統計データとして生かして行く風土がまだないのかもしれない。それを安くできる構図を作り,比較的規模の小さい企業さんにたくさん使ってもらえるようにしたい。Webサイトでクリックしたことはトラッキング可能であるように,電話もトラッキングしてログを集計できるのが当たり前なのだという状況に持っていきたいと考えている。このほか当社は,Asteriskを使った個別の開発案件も請け負っており,4社ほど実績がある。