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アナウンス室 プロフィール

おおの おさむ

大野 修

プロフィール

結婚披露宴にまつわる話

自慢できるかどうか分からないが、
僕は結婚披露宴の司会を頼まれることが多い。

来月も明治神宮にある明治記念館で、
学生時代の友人の披露宴の司会をすることになっている。
何でもお相手が和服の染色をしている職人さんだそうで、
能や歌舞伎の世界で有名な人が列席するとのこと。
とても厳かで格調高い披露宴になりそうだ。

学生時代に加えて、FCTの前に
日本一のマンモス企業に勤めていたお陰で
友達が多いせいだと思うが、
これまで僕は少なくとも30回は司会のマイクの前に立った。

友人にとって、おそらく人生で一番幸せな瞬間に
司会という立場で立ち会えることはとっても誇らしいことだし、
司会にはアナウンサーとして味わうのとはまた違った感動がある。

個性的な披露宴を!と握りこぶしを固める新郎新婦多いが、
ホテルや専門式場を利用すると、だいたいは“形通り”の進行となる。

僕の記憶を辿ると“形通り”とは、大体次の通りである。
『入場⇒新郎新婦紹介⇒主賓挨拶⇒ケーキ入刀⇒乾杯⇒歓談…
 お色直し⇒キャンドルサービス⇒余興⇒手紙朗読⇒両親へ花束贈呈』
参加人数は80人〜120人位で、
時間は2時間半〜3時間というのが一般的なようだ。

最大公約数的ではあるけれどもツボを押さえた構成になっていて、
終わってみれば『なかなかよかったじゃないの!』と、
新郎新婦も出席者も口をそろえて喜んでもらえるので、
“形通り”の披露宴もそんなに嫌われるものではないと思う。

僕が司会をしたうち、今までで最も大きな披露宴は、
出席人数550人・お色直し4回・所要時間5時間30分で、
台本を書くだけでも相当時間を費やした覚えがある。
親類縁者はもとより、隣近所のご家族、
小学時代から現在までの友人・知人、飲み友達までが顔をそろえ、
会場の隅の司会席から見ると端っこがかすんで見えたほどだ。

披露宴の最中は結構忙しいので、
飲み食いは一切せずにマイクの前に立ちっぱなしとなるが、
この時ばかりはお開きになった直後にへたりこんでしまった。

出席者が食べていたフルコースの料理を思い浮かべながら
帰り道に食べた吉野屋の牛丼の美味しかったこと!
280円の牛丼があんなに美味しく感じたことは今までになかった。

その一方で、体育会系の披露宴は暴走することが多い。

2年前の夏のこと、東京都内の某ホテルで開かれた
Sという友人の結婚披露宴の司会をすることになった。

僕はSと大学の体育会時代から付き合いがあり、
彼が滅法酒に好きんなことはよ〜〜く知っていた。
が、実は純白のドレスに身を包んだ新婦も無類のお酒好きで、
そもそもの二人の付き合いは酒飲みがきっかけだったそうだ。
(ちなみに新婦も体育会に所属していた)

そんなわけで披露宴に出席した120人のうち、
親類縁者や会社関係者を除く50人は体育会出身者が占めた。

これは司会者にとっては恐怖の配分である。

和やかに、滞りなく披露宴を進行するためには、
静かにしていてくれる人の数が過半数いれば、騒ぐほうも遠慮をする。
しかし、お酒好きの体育会系人間は1人で2〜3人分位のパワーがある。
つまり、騒ぐパワーが100〜150であるのに対し、
それを押さえるパワーは70程度しかないことになるからだ。

進行は“形通り”だった。
新郎新婦の入場、新郎新婦紹介、主賓挨拶、ケーキ入刀。
そしてついに『乾杯』の段取りとなった。
そう、ここでついにお酒が解禁となるのである。
そして大抵の会場がそうであるように、
その披露宴でも飲み放題となっていた。

会場の主任さんは事前の打ち合わせ通り、
「お酒はなるべく飲まないように、
グラスに口をつけたらすぐ足下にあるバケツに入れるように」
と、新郎新婦に耳打ちしたが、乾杯の直後からヒナ壇の上には
友人がビールやらワインやらを持って長蛇の列を作り始めた。

そして新郎新婦は、やめればいいものを
注がれたお酒を片っ端から飲み干し上機嫌になっていった。
しかも朝からロクに食べ物を口にしていないというではないか!

しかも、会場はそれまでの静けさがウソだったように、
居酒屋並みの賑やかさとなり、あちこちで大きな笑い声が聞こえた。
明るく楽しい披露宴に!という新郎新婦の希望は叶えられたかに見えた。

ところが、余興になって彼らはついに暴走を始めた。

新郎と新婦のどちらかを目隠しして、何人かの中から、
手を触ったりして本当の相手を見つける、という余興がある。
Sの披露宴でも彼の友人(もちろん元体育会)が飛び入りで、
「ホンモノは誰だ!をやらせて頂きます」
と言い出したので、あぁ例の手を触る余興だなと思った…。

僕の判断はとっても甘かった。

何とその友人は新郎のSを上半身裸にし、
同じ部の友人4人も同様に上半身裸にし、新婦に体を触れという。
お酒が入ってすっかりいい気分の新郎新婦は大喜びで余興に参加。
触られるSやSの友人たちは大声で騒ぐ上に、
新婦に至っては「え〜分かんないからもっと触っていい?」
などと言い出し、会場は大騒ぎの渦となった。

もうここまで来ると、司会が何を言っても始まらない。
ホテルの会場係の人たちも
全く手をつけられない有様となってしまったこの披露宴、
司会の僕にとっては忘れられない『疲労宴』になってしまった。

おまけに飲みすぎた新郎は最後の挨拶でろれつが回らず、
感動的なシーンになるはずの花束贈呈では新郎新婦がよろける始末。

これから結婚式を迎える予定がある皆さん、
くれぐれも余興の暴走と飲みすぎに注意するようお願いします。

2002.04.01 | コメント[0]トラックバック[0]