アナウンス室インデックス

[2002] < 2003年12月 > [2004]

1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31
2003年
1月 2月 3月 4月 5月 6月
7月 8月 9月 10月 11月 12月
2002年
1月 2月 3月 4月 5月 6月
7月 8月 9月 10月 11月 12月

新着日記

新着ネットラジオ

インターネットラジオ

インターネットラジオを聞くには?

iTunesダウンロード

FCT直営ウェブサイト

あなたのお店も登録しませんか「満ぷくナビ」

テレビ局の仕事をやさしく解説「ズームインFCT」

調べものなら 「ちょっと便利帳」

アナウンス室 プロフィール

おおの おさむ

大野 修

プロフィール

像が踏んでも壊れない…

もうすぐクリスマス。
小学生くらいの子供たちにとって、この時期は
『♪もう〜いくつ寝ると〜お正月〜』
というより
『♪もう〜いくつ寝ると〜クリスマス〜』
という期待で胸が膨らむ頃だと思う。

で、僕が小学生の頃はこの時期になると必ず
『テレビでクリスマスにはこれを買ってもらおう!!』
というようなCMが流れていて、
欲に駆られた血走った目でそのCMを見ていたものである。

当時は鉄道模型のNゲージや、プラモデル、
高価なものではテレビゲームが子供たちの人気の的だった。

特にこのテレビゲームは僕たちにとっては衝撃的だった。

何と言っても、何と言っても!ゲームセンターでしか楽しめない、
しかも1回100円もするゲームがやりたい放題なのである。
(買う時にいくらかかる、という考えは浮かばない)

ところが当時のゲーム機は、今のもののようにソフトを変えれば
どんなゲームでも楽しめるという融通の利いた作りではなく、
ウン万円のゲーム機を買うと
その一つのゲームしか楽しめないという非情な作りにになっていた。

そこで楽しめるゲームは“ブロック崩し”だけであったが、
僕たちは当然のようにそれにハマってしまった。
学校が終わると、クラスで唯一ゲーム機を買ってもらった
お金持ちのW辺君の家へ行って、居間のテレビの前に陣取っては
毎日のように、暗くなるまでブロック崩しに熱狂していた。

しかし、子供は熱しやすく冷めやすい。
当時としては画期的な円形のコントローラーは汗でベタベタになり
力自慢のY本君が「うりゃうりゃ〜」と左右にひねりを入れた結果、
“ボキッ”という鈍い音と共に
コントローラーは無残にも本体から抜け落ちてしまったのである。

W君が大事にしていたゲーム機のコントローラーが抜け落ちた瞬間、
無責任な僕たちは
『もう遅いから帰るね〜。バイバ〜イ』
とクモの子を散らすように一斉にW辺君の家を後にし、
それっきりテレビゲームには興味が無くなってしまったのである。

閑話休題。(いつも寄り道が長くて済みません)

僕が小学4年生のとき、
クラスの皆を騒然とさせるクリスマスプレゼントのCMが流れた。
『♪像が踏んでも壊れない〜』
というコメントで紹介されたのは【超合金】のカンペンケースである。
今のようにCGが発達していなかった当時
実際にどうやったか定かではないのだが、
本当に像が銀色のカンペンケースを踏んづけている。
しかも踏まれたカンペンケースにはキズ一つ付いていないではないか!

僕らを魅きつけたのはそれだけではない。

当時は“マジンガーゼット”や“グレートマジンガー”など、
【超合金】と名のつくものは「何だか分からんが強くてエライ」
という固定観念が僕ら小学生の頭の中にあったのである。
だから、その【超合金】で出来たカンペンケースは
像に踏まれても壊れるわけがない、と信じきっていたのだ。
(そもそも【超合金】の正体は今もって不明であるが…)

【超合金】のカンペンケース…
これなら世界征服を企む悪者(誰!?)にも勝てるかも知れない。
お金持ちのW辺君や力自慢のY本君、絵を描くのが好きなT中君など
僕らの仲間内はそのCMの話題で持ちきりとなった。

時はクリスマス前。
当然のように僕は
「【超合金】のカンペンケース、皆買ってもらうんだよ〜」
と身をくねらせて母親にねだったが、
「皆って誰と誰と誰なの!それをはっきりさせなさい!」
と切り返され、
あっけなく【超合金】のカンペンケースは却下されてしまった。

そんなこんなでクリスマスの朝を迎えた。
僕の枕元には【世界の偉人伝 全50巻】が山積みされており、
ご丁寧に「冬休みに読んでね☆」というメッセージまで添えられていた。

がっくりと肩を落として終業式のために登校した僕は
4年3組の教室でとんでもないものを目撃することになった。

お金持ちのW辺君が、あの【超合金】のカンペンケースを
自慢げに見せびらかしていたのである!!
キラキラ光る新品のカンペンケースは、まさに【超合金】そのもの。

柔道着を貰った力自慢のY本君…
24色色えんぴつを貰ったT中君…
世界の偉人伝全50巻を貰った僕…

「これが『像が踏んでも壊れない』カンペンケースかぁ」
僕たちは羨望の眼差しでカンペンケースを見つめた。
「いいだろう。クリスマスプレゼントで貰ったんだぜ」
と自慢するW辺君に、柔道着を貰ったという力自慢のY本君が
「でもさぁ、このカンペン、ホントに像が踏んでも壊れないのか?」
と素朴な疑問を呈した。

「あったりまえじゃん。だって【超合金】なんだぜ」
自慢の品をけなされたW辺君はむっとして言い返した。

すると短気なY本君は
「じゃあ、像より力が無い俺が踏んでも大丈夫だよな」
と言うが早いかW辺君の手からカンペンケースを奪うと
「うりゃぁぁぁ!」
という声と共に踏んづけたのだ!!

その後…僕たちは
「体育館で終業式があるから早く行かなきゃ」と
クモの子を散らすようにその場から立ち去ったのである。
【超合金】の割にはあっけなく潰れたカンペンケースを残して…。

小学4年生の冬の、思い出深い一コマである。

2003.12.10 | コメント[0]トラックバック[0]