なまえ
先日、少年サッカーの頂点を決める
『全日本少年サッカー福島県大会』の実況をする機会があった。
いわき地区同士の対決となったが、延長にもつれ込む接戦の末、
古河電池FCジュニアが大会2連覇を達成した。いい試合だった。
で、実況をするとき、アナウンサーは
選手一人一人の情報やチームの沿革などをまとめた
『チーム資料』というものを作って放送に臨んでいる。
今回の実況でも『チーム資料』を作ったのだが、
選手の名前をまとめながら気付いたことがあった。
最近の子供たちは名前が凝っているのだ。難しい漢字も登場する。
ちなみに僕の姪っ子姉妹の名前もユニークだ。
『真亜珠(まぁじゅ)』は「アジアの真珠」に、
『真桜珠(まおじゅ)』は「日本の真珠」に、
それぞれなって欲しいという願いから付けられたそうだ。
おまけに付け加えると、僕の名前は親父がつけたもので
「勉強がそこそこ出来るようになれば…」との考えでつけたという。
何ともシンプルな話で、
すんごく期待して名前の由来を聞いた僕は拍子抜けした記憶がある。
そういえば…最近はペットの名前も凝っている。
先日ある番組で、ペット連れのご夫人を紹介するコーナーがあり
「名前はフォン・ブラウンと申しますの」とか
「この子はヘレン・ドゥ・ムースちゃんです」とか言っていて、
僕はテレビを口をあんぐり開けながら見た覚えがある。
小学校5年生の頃、僕は生まれて初めて犬を飼った。
雑種でアタマは良くなく、
誰にでも尻尾を振るお人よしなだけが取り柄の可愛い犬だった。
名前は“コマ”。
理由は直前に行った遠足の目的地が【高麗(こま)神社】だったから。
ただそれだけ。
当時はペットフードもあまり無く、僕が『犬メシ』を作る担当だった。
そういえば今やペットフードは一大産業。
『1歳まで用』
『1歳から6歳まで』
『ダイエット用』
『シニア用』
など、ありとあらゆる種類があり
『オリゴ糖がおなかの調子を整えます』
『ビタミンがバランスよく配合されています』
『国産牛を贅沢に使いました』と、
僕を筆頭にお小遣いを減らされた世のお父さんが聞いたら
泣いて喜びそうな文句が並んでいる。
が、当時僕の作っていた『犬メシ』も負けてはいない。
『前の晩の残りご飯』
『キャベツの切れ端』
『給食で残したパンのミミ』
『賞味期限の切れたシーチキン』
『サンマの食べ残し』
『今朝の味噌汁』などなど。
これをグツグツ煮込んで出来上がり。
今考えれば塩分も多く味もへったくれもないシロモノだったが、
“コマ”はシッポをちぎれんばかりに振りながら
ガツガツと喜んで僕の作った『犬メシ』を食べていた。
僕も“コマ”がエサ好きなのを知っていたので
何度も「お座り」「お手」「お代わり」をさせていた、
一度はあまりに焦らしすぎたためにかみつかれたこともあった。
何とものどかな時代だった。
閑話休題…。
僕の飼っていた犬の名前は【遠足の目的地】。
僕の名前は【勉強が出来るように】。
(残念ながらこの願いは聞き届けられなかったが…)
というように、一昔前まで、
名前は極めて単純なところで決まっていたように思う。
僕が犬を飼った頃、小学校では犬を飼うのが流行っていた。
友達のS君はほぼ僕と同時期に捨て犬を拾って飼っていた。
名前は『チビ』。
理由は拾ったとき片手に載るくらい小さかったからだ。
白い毛に覆われた『チビ』はヨチヨチ歩いてとても可愛らしかった。
しかし…。
『チビ』は食欲旺盛で日ごとに巨大化し、飼って半年ほど経つと
セントバーナード並の大きさになってしまったのである。
もちろん力もハンパでは無く、
散歩中に急に綱を引っ張られたお父さんが脱臼して全治一週間。
S君も散歩中に綱を引っ張られて転倒し、捻挫をしたこともあった。
「『チビ』がよぅ、こんなに大きくなるとは思わなかったよ…」
S君は会うたびに嘆いていたが、
名前と実物のアンバランスはまるで漫画のようであった。
一方、Y君が飼った犬は見るからに強そうな柴犬だった。
名前は『信長』。
理由は、もちろん戦国武将として日本統一にまい進した
あの『織田信長』のように強くなって欲しいと願ったからだ。
しかし…。
『信長』はとても気が優しい犬だった。
野良猫がエサを食べに来れば譲ってやり、
なぜか庭の花壇の花が好きで、その脇で昼寝をするのが大好き。
野良猫にエサを譲り、花が好きな『信長』は、
散歩中に強そうな犬が来るとY君の陰に隠れて、
その犬が通り過ぎるのをシッポを巻いて待っていたという。
「『信長』、弱っちいんだよなぁ。日本一強くなると思ったのに」
Y君は会うたびに嘆いていたが、
名前と実物のアンバランスはまるで漫画のようだった。
名前、一生付いて回るものだが…
なかなか名前の通りにはいかないものだなぁと感じた11歳。
小学5年生の思い出である。
『全日本少年サッカー福島県大会』の実況をする機会があった。
いわき地区同士の対決となったが、延長にもつれ込む接戦の末、
古河電池FCジュニアが大会2連覇を達成した。いい試合だった。
で、実況をするとき、アナウンサーは
選手一人一人の情報やチームの沿革などをまとめた
『チーム資料』というものを作って放送に臨んでいる。
今回の実況でも『チーム資料』を作ったのだが、
選手の名前をまとめながら気付いたことがあった。
最近の子供たちは名前が凝っているのだ。難しい漢字も登場する。
ちなみに僕の姪っ子姉妹の名前もユニークだ。
『真亜珠(まぁじゅ)』は「アジアの真珠」に、
『真桜珠(まおじゅ)』は「日本の真珠」に、
それぞれなって欲しいという願いから付けられたそうだ。
おまけに付け加えると、僕の名前は親父がつけたもので
「勉強がそこそこ出来るようになれば…」との考えでつけたという。
何ともシンプルな話で、
すんごく期待して名前の由来を聞いた僕は拍子抜けした記憶がある。
そういえば…最近はペットの名前も凝っている。
先日ある番組で、ペット連れのご夫人を紹介するコーナーがあり
「名前はフォン・ブラウンと申しますの」とか
「この子はヘレン・ドゥ・ムースちゃんです」とか言っていて、
僕はテレビを口をあんぐり開けながら見た覚えがある。
小学校5年生の頃、僕は生まれて初めて犬を飼った。
雑種でアタマは良くなく、
誰にでも尻尾を振るお人よしなだけが取り柄の可愛い犬だった。
名前は“コマ”。
理由は直前に行った遠足の目的地が【高麗(こま)神社】だったから。
ただそれだけ。
当時はペットフードもあまり無く、僕が『犬メシ』を作る担当だった。
そういえば今やペットフードは一大産業。
『1歳まで用』
『1歳から6歳まで』
『ダイエット用』
『シニア用』
など、ありとあらゆる種類があり
『オリゴ糖がおなかの調子を整えます』
『ビタミンがバランスよく配合されています』
『国産牛を贅沢に使いました』と、
僕を筆頭にお小遣いを減らされた世のお父さんが聞いたら
泣いて喜びそうな文句が並んでいる。
が、当時僕の作っていた『犬メシ』も負けてはいない。
『前の晩の残りご飯』
『キャベツの切れ端』
『給食で残したパンのミミ』
『賞味期限の切れたシーチキン』
『サンマの食べ残し』
『今朝の味噌汁』などなど。
これをグツグツ煮込んで出来上がり。
今考えれば塩分も多く味もへったくれもないシロモノだったが、
“コマ”はシッポをちぎれんばかりに振りながら
ガツガツと喜んで僕の作った『犬メシ』を食べていた。
僕も“コマ”がエサ好きなのを知っていたので
何度も「お座り」「お手」「お代わり」をさせていた、
一度はあまりに焦らしすぎたためにかみつかれたこともあった。
何とものどかな時代だった。
閑話休題…。
僕の飼っていた犬の名前は【遠足の目的地】。
僕の名前は【勉強が出来るように】。
(残念ながらこの願いは聞き届けられなかったが…)
というように、一昔前まで、
名前は極めて単純なところで決まっていたように思う。
僕が犬を飼った頃、小学校では犬を飼うのが流行っていた。
友達のS君はほぼ僕と同時期に捨て犬を拾って飼っていた。
名前は『チビ』。
理由は拾ったとき片手に載るくらい小さかったからだ。
白い毛に覆われた『チビ』はヨチヨチ歩いてとても可愛らしかった。
しかし…。
『チビ』は食欲旺盛で日ごとに巨大化し、飼って半年ほど経つと
セントバーナード並の大きさになってしまったのである。
もちろん力もハンパでは無く、
散歩中に急に綱を引っ張られたお父さんが脱臼して全治一週間。
S君も散歩中に綱を引っ張られて転倒し、捻挫をしたこともあった。
「『チビ』がよぅ、こんなに大きくなるとは思わなかったよ…」
S君は会うたびに嘆いていたが、
名前と実物のアンバランスはまるで漫画のようであった。
一方、Y君が飼った犬は見るからに強そうな柴犬だった。
名前は『信長』。
理由は、もちろん戦国武将として日本統一にまい進した
あの『織田信長』のように強くなって欲しいと願ったからだ。
しかし…。
『信長』はとても気が優しい犬だった。
野良猫がエサを食べに来れば譲ってやり、
なぜか庭の花壇の花が好きで、その脇で昼寝をするのが大好き。
野良猫にエサを譲り、花が好きな『信長』は、
散歩中に強そうな犬が来るとY君の陰に隠れて、
その犬が通り過ぎるのをシッポを巻いて待っていたという。
「『信長』、弱っちいんだよなぁ。日本一強くなると思ったのに」
Y君は会うたびに嘆いていたが、
名前と実物のアンバランスはまるで漫画のようだった。
名前、一生付いて回るものだが…
なかなか名前の通りにはいかないものだなぁと感じた11歳。
小学5年生の思い出である。
2004.06.29 | | コメント[0] | トラックバック[0]