YOMIURI ONLINE
現在位置は
です

本文です

大阪の繁華街、遠距離客引きタクシーまた横行

 ◆原油高で不況

 大阪・キタやミナミの繁華街で、遠距離専門の客引きを行い、高額の料金という〈甘い汁〉を「しゃぶる」ことから転じて「チャブリ」と呼ばれるタクシーが、再び横行している。企業の大型倒産が相次ぐなど不況まっただ中だった約10年前や、規制緩和でタクシーが増えた約5年前にも問題化。今回は、昨年来の原油高による運転手の減収が背景にあるとみられる。出現の度、摘発に追われてきた府警は「タクシーの不遇という世相の表れではあるが、悪質なケースは徹底的に取り締まる」としている。

 週末の深夜、北新地周辺の交差点で、乗り場で列を作るタクシーを横目に、3〜4人の運転手が酔客に次々と声をかけていた。遠方の客には「安くしとくから」と近くに止めたタクシーに誘い、行き先が近場なら、乗り場を指さして「あっち、あっち」。

 ミナミの御堂筋でも運転手数人が上客を探していた。「堺市まで」というサラリーマンには「高速代込みで6000円でいいよ」。数人のグループを見つけては「まとめて送るよ」と声をかける運転手もいる。

 チャブリは、バブル経済崩壊後の不況が続いていた約10年前から繁華街で目立つようになり、府警は2000年、グループ4人を道路運送法違反(乗車拒否)容疑で逮捕するなどした。

 いったん影を潜めたが、02年の道路運送法改正で、タクシー事業が免許制から許可制に変わり、台数増加による競争激化で再び出現。そのため府警は03年、タクシー業務適正化特別措置法(乗車禁止地区での乗車)を初適用、05年までに数グループを摘発し、最近は沈静化していた。

 ところが、昨年末ごろからまた復活。原油高による燃料の高騰が、個人タクシーの運転手を直撃、法人タクシーも一部で運転手の給与をカットしたためとみられ、50歳代の「チャブリ」運転手は「月収は減る一方で、今は10万ちょっと。客は少なく、頭を使って稼がないと……」と漏らした。

 現在、府内のタクシーは規制緩和前より約3000台増えて約2万3000台(個人タクシーを含む)で、全国自動車交通労働組合総連合会大阪地方連合会によると、運転手の平均年収は250〜260万円。

2008年5月24日  読売新聞)

 関西発  ニュース一覧

現在位置は
です