県立大野病院(大熊町)と双葉厚生病院(双葉町)について、それぞれを運営する県とJA福島厚生連が、両病院の統合を視野に連携することになった。検討会を23日発足させ、福島市で初会合を開いた。両病院とも医師不足が深刻で、経営強化の面からも再編を模索していく。
県病院局によると、07年度の医師数は両病院とも9人で、04年度から3人減り医師不足に陥っている。常勤医がいない診療科も大野病院が2科(眼科、泌尿器科)、双葉厚生病院が7科(小児科、整形外科など)。両病院は約6キロ離れ、これまで眼科患者あっせんや外科手術の応援などを除き、連携はなかったという。
大野病院では外来患者が激減し、06年度決算で8億8600万円の大幅赤字、双葉厚生病院も同年度1200万円の赤字だった。今年3月、県は行財政改革の一環で両病院の連携方針を確認し、JA福島厚生連も連携の要望書を県に提出していた。
初会合には、双方の関係者12人が出席し、経営面や医療体制などを実務レベルで話し合う「ワーキンググループ」の設置を決めた。会議後、JA福島厚生連の中山忠理事長は「地元自治体とも協議したいが、医師の数が18人になればいいと思う」と統合に前向き。県病院経営改革課の緑川茂樹課長は「統合は選択肢の一つ。今年度中に一定の方向性を示したい」と話した。
県立病院と統合した民間病院では、昨年4月に旧県立リハビリテーション飯坂温泉病院と合併した南東北病院がある。県側が南東北病院に移譲した形で、県病院局は「統合形態は全国的にも、公立病院が民間病院に移譲されるケースがほとんど」という。産科の医療事故が刑事事件に発展した大野病院が将来、統合により廃止される可能性も出ている。【西嶋正法】
毎日新聞 2008年5月24日 地方版