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10年後の県立病院 改善策で黒字8億2008年5月24日

 赤字経営が深刻化している県立病院が、現在の経営状態で運営を続けた場合、2017年度までの10年間で年平均30億円、計約300億円の赤字(損失)が発生することが、県医務・国保課が県立病院の機能・役割などを調査委託した日本総合研究所の調べで23日、分かった。経営改善のシミュレーションでは、10年間で入院・外来患者がそれぞれ5%増加し、さらに給与費を5%削減すると経常損益は黒字に転じ、10年後には約8億円の利益が発生するとの推計も示している。
 報告書では、県立病院は病院勤務医に占める割合が、小児科や産科で高いなど政策医療として「重要な役割を果たしている」と評価する一方で、医業収益に対する給与費の割合増加や、材料費の割合の高止まりなどにより「将来の経営の道筋が立てられていない」と厳しい状況を指摘している。
 報告書は、県立病院の今後の在り方を抜本的に見直すための判断材料にするもので、県は医師会や学識経験者らでつくる有識者会議を今夏に発足させ、今後の在り方を検討する。
 県立病院の将来推計(シミュレーション)は、県一般会計からの2007年度繰入金約71億円を10年間続けると仮定して算出。経営改善の例として、10年間で入院患者が5%増えた場合や、給与費を一律5%削減した場合の赤字額はそれぞれ約200億円まで減少すると推計。材料費を10年間で7%削減すれば約240億円に減少するという。
 今後の経営形態については(1)現在の公設公営(2)地方独立行政法人(3)公設民営(指定管理者)(4)民間委譲―の4形態を提示。県外の先行事例の病院から聴取した結果、「経営形態は問題とされず、経営改善策を遂行できる経営者を据えて権限を委譲すべきだという意見に集約される」とした。
 赤字額増額の理由の大半は「給与費・委託費と減価償却費、資産減耗費の増額、外来収益の落ち込みで説明できる」と指摘した。
 一方で、医療の役割については北部、宮古、八重山で各県立病院が救急医療の7―8割以上を担っているほか、中部、南部を含め周産期医療や専門性の高い医療提供など「政策医療で高い実績を上げている」と高く評価している。


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