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研修を兼ねて試行された家庭医の外来=七尾市の恵寿総合病院
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七尾市の恵寿総合病院は今秋から、産婦人科や精神科、小児科など大半の診療科の初期
診療を行える「家庭医」の養成に取り組む。先進地・米国で研修した日本人医師を招き、
全国から研修生を募り、五年かけて育成する。専門外来も開設し、県内では唯一、国内で
も有数の家庭医養成拠点となる。
同病院などによると、家庭医とは患者の既往症や家庭環境も把握した上で、総合的な初
期診療にあたる医師のことで、専門治療が必要な場合は専門科や大規模病院を紹介する。
外科、内科から整形外科、眼科、耳鼻科、精神科まで全診療科の八割以上を担当し、ほ
くろ、いぼの除去や大腸内視鏡、帝王切開、虫垂切除なども行える。
各専門の研修を積んでおり、初期診療医として米国では一般的だが、臓器別の専門医が
主流の日本ではまだ少数で認知度も低い。日本では専門分野以外は詳しく分からない医師
も多いため、患者が各科をたらい回しにされる例もあるとされ、「幅広く」診療できる家
庭医の普及は医療費抑制、専門医の負担軽減にもつながるという。
同病院はミシガン大医学部家庭医療科の吉岡哲也医師を招き、十月をめどに養成プログ
ラムをスタートさせる。合わせて病院敷地内に「家庭医療学センター」(仮称)を開設す
る。
今月二十日から九日間の日程で、同大の藤岡洋介医師による家庭医療外来を試行し、恵
寿総合病院や金大附属病院の若手医師らが研修している。恵寿総合病院を運営する特別医
療法人財団・董仙会の神野正博理事長は「能登のような医師不足が深刻な地域こそ、一人
の医師が患者を総合的に診る医療体制が求められる」と話している。