東京の評論家が岡山で講演した際「地方は豊かですね。一家に車が二台も三台もあって」と語った。おかしな認識だなと思ったことがある。
地方の家庭に車の保有台数が多いのは、趣味やレジャーを楽しむためではない。公共交通機関が整備されず、足は自家用車に頼らざるを得ない現実がある。一人に一台というのも、生活に欠かせないからだ。
大都市は、新しい鉄道路線が開通するなど公共交通機関が発達し、車を持たなくても生活可能だ。反対に、地方は郊外化によって自家用車への依存が進む。公共交通環境の、大都市と地方との格差は広がっている。
ガソリンスタンドで給油するたびに腹立たしくなる。揮発油税の暫定税率が復活し、一度下がった価格が上がった。原油高も追い打ちをかけるが、値上がり分の多くは自動車ユーザーが暫定とされながら負担し続ける税金だ。再値上げによって、負担の重さを実感する。
暫定税率を含めた道路特定財源の一般財源化がいわれる。何にでも使える税金は国民全体で納めるべきだ。なぜ車のユーザー、特に大都市に比べて一世帯の保有台数の多い地方が、重い負担に耐えなければならないのか。
道路整備が必要ないなら暫定税率は廃止してほしい。せめて使い道を地方に任せないと納得はできない。