【北京・鈴木玲子】中国環境保護省は23日、四川大地震で放射性物質50個が倒壊した施設の下敷きになるなどし、うち15個が回収されていないことを明らかにした。所在地は特定され、放射能漏れの恐れはないと強調したが、放射性物質の種類や施設の場所などは明らかにしなかった。
未回収の15個のうち3個はがれきに埋まり、残る12個は危険な場所にあるため、回収できないという。被災地には核兵器関連施設や核燃料生産施設があるとみられ、地震による放射能漏れなどが懸念されている。
環境保護省はまた、12日の地震で倒壊した四川省什※(方におおざと)=じゅうほう=市の化学工場2カ所から液体アンモニア80トン以上と硫酸が漏れ出し、住民6000人以上が避難する騒ぎがあったことも明らかにした。四川省綿竹市の化学工場でも地震発生直後に猛毒の黄リンに引火、14日まで燃え続けたという。環境保護省は「環境への影響はない」としている。
一方、新華社通信によると中国軍は23日までに、綿竹市の土砂崩れで川がせき止められてできた地震湖を爆破、排水に成功した。地震湖は四川省だけで34カ所あり、北川(ほくせん)県では最大の地震湖が決壊する恐れが強まり、同日午後までに付近の住民約1万人が避難した。堤防に亀裂が入るなど危険なダムも1803カ所ある。
中国政府によると、地震による死者は23日正午(日本時間午後1時)現在5万5740人、行方不明者は2万4960人。
日本の国際緊急援助隊医療チーム(田尻和宏団長、23人)はこの日、四川大学華西病院(成都市)で2日目の支援活動に取り組んだ。緊急外来と集中治療室、透析に人員配置したほか、華西第2病院の小児科・産科にも隊員を派遣した。
毎日新聞 2008年5月23日 21時03分(最終更新 5月24日 1時21分)