支局長からの手紙

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先輩患者の務め /兵庫

 日本心臓ペースメーカー友の会(東京都世田谷区)の兵庫県支部長を務める神戸市垂水区の吉朝(よしあさ)久尚さん(67)は、ペースメーカーを装着して12年が過ぎました。

 会社勤めをしていた95年1月、阪神大震災で自宅の集合住宅が全壊し、姫路市内の社宅に仮住まいしながら建て直しに向けた会合などに出席していました。そのうち、体がしんどくなり、脈が30~40に減る徐脈と診断され、96年2月、ペースメーカーの植え込み手術を受けたのです。

 心臓病の知識も情報もなく、退院後は不安を抱えての生活を送っていたのですが、友の会のことを知って入会。県内の植え込み手術は、年間2000件近くに上り、装着者は1万人を超えると推定されていますが、3月現在の支部会員は162人。正しい情報が得られずに苦しんでいる患者が多数いると、吉朝さんは危ぶみます。

 全国的にも06年に新しく装着した人は約3万2000人いますが、友の会の会員は約4000人。吉朝さんは「救いの手をさしのべるのが先輩患者の務め。友の会があることだけでも知っておいてほしい」と。

 国産第1号の植え込み手術は63年。電極の破損、手術跡の感染、患者の強い不安感といった問題が相次ぎ、70年に友の会ができたのです。ペースメーカーによって生かされていることに「感謝」し、「報恩」「奉仕」の理念のもとに、快適な日常生活の確保を図り、社会福祉の向上に貢献することを目的に掲げました。

 隔月発行の友の会の会誌は、各地の勉強会の模様などを掲載し、知識を得るのに役立ちます。兵庫県支部は、講演会・勉強会、親睦旅行などを通じて不安の解消に務めています。

 止まったらどうなるのか、から始まり、携帯電話、電磁調理器の影響も不安の対象です。でも吉朝さんによると、携帯電話は22センチ、電磁調理器は50センチ離れていれば大丈夫だと。医師の立ち会いのもと、ペースメーカーの上に携帯電話を置いて着信する実験にも参加しました。そういう話を実際に聞くことで、不安を和らげることができるといいます。

 支部会員の平均年齢は71歳。神戸、阪神間の人が多いのですが、県北部の参加が少ないことが悩みです。ほかの支部では、AED(自動体外式除細動器)の講習をするところも。循環器病の知識を深めることで、友人知人らの命を助けることもできるのでは。吉朝さんは、そう考えています。

    ◇

 兵庫県支部の第11回講演会・勉強会が6月8日(日)午前10時半、神戸市中央区下山手通のパレス神戸で開かれます。

 友の会会長で筑波大名誉教授の堀原一さんの講演と、顧問医師の前宝塚市立病院長の小坂井嘉夫さん、前神戸大医学部教授の岡田昌義さんによる勉強会。会費1000円。申し込み・問い合わせは、吉朝さん(078・782・2587=兼ファクス)。【阪神支局長・二木一夫】

futagi@white.plala.or.jp

〔阪神版〕

毎日新聞 2008年5月23日 地方版

 
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