西日本新聞

WORD BOX - THE NISHINIPPON WEB

クロロピクリン

 土壌の消毒などに使われる農薬で、毒劇物取締法の劇物に指定されている。農林水産省農薬対策室によると、1948年に農薬登録された。常温では透明または淡黄色の液体。揮発性が高く、気化すると刺激臭を伴う塩素系有毒ガスを発生する。のどや目が痛み、大量に吸い込むと呼吸困難や肺水腫を引き起こし、死に至る場合もある。販売店で購入者は氏名や住所を記入し、身分証明書の提示などを求められる。国内の年間出荷量は約9000トンという。

熊本・有毒ガス 農薬名 医師に伝わらず 消防、現物携行を断念

2008年5月23日掲載)

 熊本赤十字病院(熊本市長嶺南2丁目)救命救急センターで21日夜、自殺を図って搬送された農業男性(34)=熊本県合志市=の嘔吐(おうと)物から有毒ガスが発生し、54人が体調不良などを訴えた事故は、消防署から病院に正確な農薬の種類が伝わらなかったため被害が拡大した可能性が強まっている。病院側も22日の記者会見で「農薬の正確な名称が伝わっていれば、対応は変わったかもしれない」と、情報伝達の問題を指摘した。
 県警大津署の調べでは、男性は21日夜、自宅納屋に保管していた農薬のクロロピクリンを飲んで自殺を図ったとみられる。通報を受けた救急隊員は、農薬が半分残った500CCの瓶を発見した。服毒自殺の場合、通常は現物を病院に携行するが、異臭がしていた上に瓶のふたが見つからなかったため、「このまま運ぶと危険」と判断。救急隊員は家族から「ピクリンを飲んだ」と聞き、書類と口頭で「ピクリン」と病院に伝えた。しかし、「ピクリン」はクロロピクリンの農家での通称だったため、搬送約20分前に連絡を受けた病院が医学書などで調べても、「ピクリン」を特定できなかったという。
 熊坂義治・菊池広域連合西消防署長は「知り得た情報は伝えた。搬送に一刻を争う状況だったため、(正式名称は)病院で調べてほしかった」と説明。記者会見した病院の井(い)清司救急部長らは「薬物は何万種もあり、すべて知っているわけではない。受け入れ準備などで、時間的余裕もなかった」と話す一方、「これを教訓にマニュアルを再検討する余地がある。今後は毒物の種類が判明しない場合、重症個室で治療したい」と述べた。
 事故では居合わせた患者ら8人が呼吸困難などで入院、うち肺炎で受診していた女性(72)が重症と診断された。22日夕までに3人が退院した。

>> ワードBOXトップページへ

【PR】
西日本新聞読者プラザ「Par:Q」

超話題作の公開を記念しオリジナルバッグをプレゼント!

【PR】
天気・交通情報
九州・山口の天気 福岡の天気 佐賀の天気 大分の天気 長崎の天気 熊本の天気 宮崎の天気 鹿児島の天気 九州・山口の天気 交通情報
九州のりものinfo.com
特集記事
消費者ニュース 値上げ↑ 値下げ↓
なくせ 銃・暴力
アメリカ大統領選挙(共同)
特派員オンライン
注目コンテンツ