福岡放送局

2008年5月23日 18時33分更新

「硫酸塩」通常の6倍に上昇

福岡県北九州市で光化学スモッグ注意報が発令された22日、石炭などを燃やした時に発生し国内では大気中への排出が少ない「硫酸塩」の濃度が通常の6倍に上昇していたことが福岡県の研究所の観測で分かり、中国から汚染物質が流れ込む「越境汚染」の影響を裏付けるデータとして注目されます。

福岡県では22日午後、北九州市若松区と八幡西区に九州でことし初めて、光化学スモッグ注意報が発令されました。
九州北部では、去年、相次いで光化学スモッグが発生したことから、福岡県太宰府市にある県の保健環境研究所は、発生のメカニズムを調べるため、今月から汚染物質の新しい測定機器を設置して観測を続けています。
研究所によりますと、光化学スモッグ注意報が北九州市に発令された22日の午後、大気中の「硫酸塩」という物質の濃度が急激に上昇し、通常の6倍に達したということです。
「硫酸塩」は石炭などを燃やした時に発生する物質で、光化学スモッグの直接の原因物質ではありませんが、国内では大気中への排出が少ないため、濃度の上昇は、中国から汚染物質が流れ込む「越境汚染」の影響を裏付けるデータとされます。
研究所では、さらにデータを分析して、「硫酸塩」の濃度の変化と光化学スモッグの発生との関係などを詳しく調べることにしています。
福岡県保健環境研究所の岩本真二環境科学部長は「光化学スモッグの発生には、北九州市の大気汚染の影響も背景にあるが、今回のデータから中国からの汚染物質が影響した可能性があると考えられる」と話しています。