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運転マナー「松本ルール」って?

2008年05月23日

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タクシーには「強引な右折禁止!」のステッカーも=松本市

 交差点では直進車より右折車が優先することも――。そんな交通マナーの“悪さ”を、「松本ルール」という言葉で指摘される松本市。県外の運転者からの苦情もあり、市はマナー向上に躍起だ。だが、実際の事故件数は、取り立てて悪いわけではないようだ。「松本ルール」の実情を探ってみた。

 市や松本署によると、「松本ルール」という言葉が広まったきっかけは、04年2月に地方紙に載った記事らしい。「赤信号になっても前の車にくっついて右折」「対向車が左折するすきに右折」「ウインカーをつけない」と並べ立てた。今年に入って、日本自動車連盟(JAF)発行の雑誌や、全国紙やテレビも取り上げ、「松本ルール」は定着した感がある。

 最大の特徴は「右折優先」だ。松本市は城下町だったため、道が狭く右折帯が整っている所が少ない。渋滞防止のため、右折車に道を譲る習慣があったのが発端ではないかとされる。それがいつの間にか「曲がれて当然」に変わったのではないか、という。

 そもそも、松本は事故が多いのか。

 免許保有者が、それぞれ約16万7千人と約19万1千人で同程度の松本署(松本市、波田町、山形村、塩尻市の一部)と長野中央署(長野市北部、信州新町、信濃町、小川村、中条村、飯綱町)の事故や違反を比べると、松本の方が多い傾向にある。だが、松本署交通課の藤沢茂課長は「運転にそれほど差があるとは思えない」。何よりも意外なのは、「車同士の右折時の事故」が長野の方が多いことだ。

「『松本ルール』という言葉が独り歩きしている」と市交通安全課が漏らすのも、こんな背景があるからのようだ。

 とはいえ、シートベルト総合着用率(08年4月)を見ると、松本市は93・0%で、県平均の96・7%を下回る。県内81市町村の中で諏訪、上田両市に次いでワースト3位。モラルが「高い」とは言えないようだ。

 市は、今年度もステッカーを地元企業を中心に1500枚、反射材も千個配ることにしている。武井茂善・交通安全課長は「不本意な形ではあるが、今受けている注目をきっかけにマナー改善に結びつけたい」と転機になることを期待している。

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