先天性股関節脱臼

先天性股関節脱臼、CDH、LCC、DDH

生まれた時から股関節がはずれている(脱臼)病気です。完全にはずれたものが脱臼、あしの動きで出入りするものが亜脱臼(不安定股)、はずれないが形の悪いものが臼蓋形成不全と呼ばれ、いずれも仲間の病気として扱われています。

先天性とはいうものの真の先天性(奇形性)は少なく、実際には生後の過程で生じる脱臼が多く含まれています。生まれつき「ゆるい」関節に対して、子宮内での姿勢の偏りが脱臼に働くといわれています。新生児・乳児期に正しい取り扱いをすることで、多くは予防・治療が可能です。また、「ゆるい」関節は親に似ることが多く、家族にも治療歴があることが多いようです。女児に多く、秋・冬生れに多い傾向があります。

放置されたり、治療が困難だったりすると、将来的に変形性関節症へ発展して痛みを訴えるようになります。治療の目標は安定して痛みのない股関節を保ち、青壮年期に痛みのために社会生活に損失をきたさないようにすることにあります。

宮城では以前、レントゲン撮影での集団検診を行っていましたが、現在では精密検査(二次検診)として超音波(エコー)を用いた診断を行うようになりました。

症状

外見上、あしの開きが悪く(開排制限)、短く見えます(Allis徴候)。オムツを替えるときにコクッと鳴ることもあります。幼児期以降ではお尻を振るような歩き方(Trendelenburg歩行)が目立つようになります。

診断

症状と併せて、エコー(超音波)やX線写真で診断します。臼蓋形成不全はX線写真を撮らないと判りません。  

予防

あしの開きが悪いと安定した股関節は作られません。赤ちゃんが自然にみせる緩やかなあしの開きを妨げないようなオムツ(股オムツ)の使用や抱っこの仕方(コアラ抱っこ)が予防になります。

治療

完全に外れている場合、リーメンビューゲルと呼ばれる装具で治療します。難しい脱臼にはあしの牽引や手術が必要な場合もあります。

治療により整復されても、関節の形の悪さ(臼蓋形成不全)が残る場合があります。このような場合、手術が行われますが、幼児期・学童期・成人以降それぞれの年代に合わせた手術法があります。

 

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