松下電器産業の大坪文雄社長は、毎日新聞のインタビューで、冷蔵庫や洗濯機などの白物家電を、2010年度以降に北米市場に投入する考えを示した。欧州では08年度末から本格販売する方針を既に決めており、主力の薄型テレビなどAV(音響・映像)製品だけでなく、生活家電でも世界展開を目指す。
米国の白物家電市場では、地元メーカーのワールプールやGEなどが高いシェアを持っている。大坪社長は「デザインや省エネ、環境技術などの優れた点で勝負すれば、十分にビジネスチャンスはある」と強調した。
アジア地域で販売している製品との開発の共通化を図ることで相乗効果を出し、北米のほか、ブラジルなどの南米、ロシアなどへの参入につなげたい意向だ。
大坪社長は「これまでは優れた商品がありながら、グローバルに見れば打って出ていっていない市場が多くあった。10月の(パナソニックへの)社名変更の節目を受け、白物家電でも世界の市場に攻めていきたい」と述べた。
白物家電は地域の生活習慣ごとにニーズが多様なことや、工場からの輸送費がかさむことなどから、日本や中国などアジア地域を中心に展開してきた。欧州では電子レンジやエアコンなどの販売にとどまっていたが、08年度末に冷蔵庫と洗濯機を数機種発売。
09年度はさらにラインアップを広げる方針を示している。【上田宏明】
毎日新聞 2008年5月23日 東京朝刊