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   とろーり幸せ!プリン極うま調理術

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2006年11月8日放送

今回の番組について

昭和39年、簡単に作れるプリンの素が登場し、プルプルのプリンは爆発的な人気となりました。プリンは、一般家庭で簡単に作って食べられるものになったのです。ところが平成に入ると、プリンはプルプルだけでなくなめらかタイプが大人気に。しかし、このなめらかな味わいは家で出すのは難しいことから、プリンは「店で買うもの」になってしまいました。

そこでガッテンがプロの職人の技を徹底的に分析。そして、ある調理器具を使って誰でも簡単に作れる方法を編み出しました!

オープニングクイズ

  • 問題:プリン発祥の地・イギリスで、プリンを重宝した職業は?
    答え:船乗り
    ※当時のプリンは今のプリンとは全く違うものでした。もともとプリンは「プディング」と呼ばれ、肉や卵を香辛料で味付けしたものを、加熱して固め、長持ちするようにした食品のことでした。プディングは海上での保存食として重宝されました。日本でおなじみのプリンは「カスタードプディング」といい、この手法を応用してフランスで生まれたものです。
  • 問題:プリンの博覧会で出された変わった形のプリンは?
    答え:鍋焼きラーメンプリン
    ※鍋焼きラーメンプリンは、見た目は本物そっくりですが、卵の白身は生クリーム、汁はカラメルでできています。
  • 問題:男性向けプリンの特徴は?
    答え:濃厚なコク
    ※コンビニで売られているプリンの7割が男性に購入されているというデータがあります。それをもとに大手メーカーが作ったのが、男性向けのプリン。特に男性のほうが「濃厚なコクと甘み」を求める傾向にあるため、プリンの上に濃厚な生クリームをのせたところ大ヒットとなりました。今、プリンメーカーは男性を大いに意識して、商品開発を行っています。

「人のプリン見て 我がプリン直せ」

プリンを作ったことがある主婦4人に、自己流でプリンを作ってもらいました。それをプリン好きの親子8人に試食・評価をしてもらうと「決してまずいわけではないが、固い」「ぶつぶつしている」とさんざんな結果。10点満点で5.5点でした。

そこでプロのお菓子職人に簡単なアドバイスをもらい、再度挑戦。すると8.5点の高評価が得られました。

不評の原因はスにあり

主婦が作ったプリンをマイクロスコープで見てみると、小さな穴があいています。これがスです。

スができるのは、プリンの加熱しすぎが原因です。加熱をしすぎると、プリン液中の水分が沸騰し、水蒸気になります。水蒸気がすぐにプリンの表面から外に出てしまえば問題はありません。しかし、プリン液も加熱によって固まってきます。プリンが固まってしまうと、水蒸気によってできた気泡がそのままスになってしまうのです。

実はそれ以外にもスができる原因があります。さて、それは次の5つの工程のうち、どこに問題があったのでしょうか?

  1. カラメルを作る
  2. 卵に砂糖をまぜる
  3. 卵液に温めた牛乳を混ぜる
  4. プリン液をこす
  5. 器に入れ、固まるまで加熱

「発見!スできなタイミング」

プロのお菓子職人と素人の主婦とで決定的に違ったのは、卵とグラニュー糖の混ぜ方でした。プロは軽くかきまぜているようですが、主婦は力んでいます。

2人がまぜた卵の液を真空に近い状態においてみると、主婦のほうの卵液にはプロの2倍もの量の泡が発生しました。これは、かき混ぜる時に液体の中に混入してしまったものなのです。この泡が、スを作るもう一つの原因だったのです。

名人のかきまぜ方

グラニュー糖をまぜる前に、卵を切るように軽くかき混ぜます。これを「卵の腰を切る」といいます。その後、グラニュー糖をまぜます。このとき、泡立て器をボールの底にこすりつけるように、泡がでないように混ぜるのがコツです。

プロのかき混ぜ方でも空気は入りますが、時間がたったり、牛乳の液をまぜることによって、多くの気泡は液中から浮いて出てしまいます。かき混ぜるときに入ってしまう空気をゼロにすることは無理ですが、なるべく液に空気がはいらないようにていねいに取り扱えば大丈夫です。

「“蒸し”できない熱し方」

次は加熱方法について。書店で売っているプリンの本を見ると加熱方法はさまざまです。いったいどうするのがよいのでしょうか?

プロのプリンと加熱しすぎのプリンに圧力をかけて実験。すると、プロのプリンは素人の半分の固さであることが判明しました。加熱の仕方が食感に大きな影響を与えているのです。

上手な加熱法とは何かとプロに聞くと「ゆっくりと加熱して、しっかりと熱を入れる」という答えでした。オーブンの場合は170度で30分、蒸し器の場合は弱火で21分です。こうすると、プリンが理想の温度である80度までゆっくりと加熱されます。

ゆっくり加熱すると柔らかくなる理由

電子顕微鏡でプロと素人のプリンを比較しました。名人のプリンは、水分や脂肪分が細かく均等に散らばっています。これが舌触りに大きな影響を及ぼしています。

加熱すると、卵のタンパク質が熱凝固を起こし、水分や脂肪分を適度に含んだ細い網目構造になります。ゆっくり加熱すると、それがプリン全体に均等に広がります。

ところが急激に加熱すると、タンパク質の結合が進みすぎてしまい、太いタンパク質の網目構造になってしまいます。太い部分はなめらかさを失い、固さを感じるようになってしまうのです。

このアドバイスで主婦もうまく作ることができました。しかし、3日後、主婦が自宅でためしたところ、失敗してしまいました。いったいなぜでしょうか?

器によって異なるプリン液の温度上昇

違いは器にあると考えて再実験。特殊な温度計を、アルミ、耐熱ガラス、陶器の器に取り付けて、そこにプリン液を流し込みます。液の温度が急激に上昇したのはアルミとガラス。およそ15分で80度をこえ、30分後には90度近くになりました。逆にゆっくり温度があがったのは陶器。25分後にプリンが固まる理想の温度、80度になりました。

グラフ「3種類の容器とプリンの温度変化」

※「ゆっくり加熱」という意味では陶器がおすすめですが、加熱の温度と時間以外にも、オーブンの温度ムラやプリン液の量などによって条件が変わるため、一慨に「陶器ならなめらかにできる」とは限りません。

「土鍋で作るガッテン流プリン」

さらにガッテンでは、土鍋の保温力を利用して、誰でも簡単においしいプリンを作ることができる「ガッテン流プリン」のレシピを作りました。このプリンで、プロからも100点満点の評価をいただきました。

ガッテン流プリンの作り方

  • 材料
    • プリン液
      • 卵 3個
      • 牛乳 500ミリリットル
      • グラニュー糖 100グラム
      • バニラエッセンス 少量
    • カラメル
      • グラニュー糖 200グラム
      • 水 100ミリリットル
  • 作り方
    1. カラメルを作ります。(鍋に水70ミリリットルを入れた後、グラニュー糖200グラムを入れます。グラニュー糖が溶けて、色が変わるまで加熱。色が付いて細かい泡が立ってきたら火を止め、水を加えます。水を加えるときにはねるので、木べらに水を流しながら少量ずつ水を加えます。まだ液体のうちにプリンのカップに入れます。大さじ1杯程度でOKです)
    2. 鍋に牛乳を入れ、火にかけます。軽く沸騰してから火を止めます。
    3. ボウルに卵、グラニュー糖を入れ混ぜ合わせます。
    4. [3] に熱した牛乳をいれ、ときのばします。
    5. バニラエッセンスをまぜます。
    6. [5] をうらごします。
    7. プリン液をカラメルの入った器に入れます。
    8. 土鍋にタオル、落としブタをしき、安定させます。
    9. プリン液が入った器を落としブタの上におきます。器は陶器を使用しました。器にはアルミ箔でフタをします。
    10. 土鍋の中に器の半分程度がひたる程度まで完全に沸騰した熱湯を注ぎます。
    11. 火をつけて、ボコボコと沸騰するまで加熱します。5分から6分が目安です。
    12. 完全に沸騰したら火を止め、土鍋にフタをします。そのまま25分待ってできあがりです。

ガッテン流プリンの温度変化

プリン液の温度は最初40度程度。それからお湯にあたためられて、およそ12分後に80度を超えます。それから若干温度は上がりますが、お湯の温度がじわじわ下がるため、決して固くなりすぎることはありません。

グラフ「ガッテン流プリンの温度変化」

実習コーナー

カラメル

  • 材料
    • グラニュー糖 200グラム
    • 水 100ミリリットル
  • 作り方
    1. 鍋に水70ミリリットルとグラニュー糖を入れる。(このときかき混ぜない)
    2. 強火で加熱し色が変わりはじめたら中火にし、少し混ぜ合わせる。
    3. 細かい泡が少なくなり煙が少し出てきたら火を止める。
    4. 鍋底を一度水で冷やす。(このときかなり大きな音がするので気をつけて)
    5. 再び弱火にかけ残りの水30ミリリットルを少しずつ木杓子にあてながら入れる。(このときカラメルがはねたりするのでゆっくり混ぜ合わせる)

※一度グラニュー糖を焦がしたら、味は変わらないので、水でカラメルの濃度を調節する。

紅茶プリン

写真・調理例

  • 材料
    • 牛乳 500ミリリットル
    • 紅茶(アールグレイ・ダージリン) 各10グラム
      ※ほかの紅茶でも結構です。
    • お湯 少々
    • 卵 3個
    • グラニュー糖 100グラム
  • 作り方
    1. 紅茶の茶葉をボウルに入れ少量のお湯をかけてラップをかけ茶葉を蒸らして開かせる。
    2. 卵とグラニュー糖をすり混ぜる。
    3. [1] を温めた牛乳に入れて、[2] のボウルに入れなじませる。
    4. コシキでこしてプリン液を作る。

クリームチーズ風味プリン

写真・調理例

  • 材料
    • 牛乳 500ミリリットル
    • クリームチーズ 140グラム
    • グラニュー糖 90グラム
    • 卵 2個
    • 卵白 1個
  • 作り方
    1. ボウルにやわらかくしたクリームチーズを入れグラニュー糖を入れてよく混ぜる。
    2. 卵と卵白をさらに混ぜ合わせ温めた牛乳を入れてなじませる。
    3. コシキでこしてプリン液を作る。
  • オーブンでの加熱法
    1. 天板の上にバットをのせキッチンペーパーをひきそのうえに器を載せる。
    2. バットの中に70度くらいのお湯を器の半分ほど入れる。
    3. 余熱で温めたオーブンに入れ170度30分加熱する。

なめらかプリン

  • 材料
    • プリン液
      • 卵黄 4個
      • グラニュー糖 60グラム
      • 生クリーム 250ミリリットル
      • 牛乳 250ミリリットル
      • バニラエッセンス 少々
  • 作り方
    1. 卵黄4個とグラニュー糖60グラムをかき混ぜます。
    2. 生クリームと牛乳をまぜ熱します。
    3. 卵液と [2] をまぜます。
    4. [3] の液をこします。
    5. 器にプリン液を入れます。
    6. 器をアルミ箔でフタをして、鍋に入れます。
    7. お湯を器の半分程度が浸るまで入れます。
    8. 弱火で12〜15分加熱してできあがりです。

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