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この農薬について、男性を運んだ救急隊は病院に略称で伝えましたが、病院は特定できず対応が遅れました。 21日夜、熊本市の熊本赤十字病院で、農薬を飲んで自殺を図った34歳の農家の男性を救急センターの治療室で治療していたところ、男性がおう吐して強い刺激臭のする有毒なガスが病院内に広がりました。 ほかの救急患者や病院の職員が目やノドの痛みを次々に訴え、あわせて54人が手当てを受けました。 農薬を飲んだ男性は死亡しました。男性が飲んだのは、畑の土を消毒する際に使う「クロルピクリン」という液体の農薬でした。 揮発性がきわめて高く、医師が体内から取り除く処置を行った際、男性が吐き出した物が気化し、広がったとみられています。 この「クロルピクリン」という農薬について、地元の農家の人たちは「ピクリン」と略称で呼んでいて、搬送した菊池広域連合西消防署の救急隊は、家族の話などから男性が飲んだのは「ピクリン」と病院に報告し、書類も提出したということです。 病院はこの情報をもとに文献などで調べたところ、「ピクリン酸」という爆発性のある別の物質は見つけたものの、「クロルピクリン」という農薬の正しい名称を特定できなかったということです。 病院が、男性が飲んだ農薬を把握したのは、救急隊が持ってきた農薬の瓶を確認したあとで、すでに大勢の人が異常を訴えていました。 治療に当たった医師は会見で、「農薬の成分がわかっていれば、あらかじめ、ほかの患者を避難させておくなどの対応を取るべきだったと思う」と話しました。 熊本赤十字病院は今後、同じような救急患者を受け入れる際は、農薬の瓶で成分を事前に確認するなど、正確な情報の把握に努めたいとしています。 |
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※このニュースは5月22日20時00分時点でのものです。 |
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