サッカーJリーグ選手の酒気帯び運転の記事が、昨日の本紙に載っていた。子どもたちに夢を与えるべき選手の非常識さが情けない。
飲酒運転事故は、相次いだ悲惨な状況に伴う罰則強化や、関係業界などの取り組みで減ってきた。昨年の飲酒運転による死亡事故は四百三十件で、前年を三割近く下回った。とはいえ、根絶には程遠い。
国土交通省は本年度、マイカー通勤が多い地方都市における飲酒運転防止策を探る社会実験を長崎県諫早市で行うことを決めた。先進地の事例などを参考に、市街地活性化も視野に入れたモデルづくりを目指すという。
例えば、飲食店やタクシー会社などで構成する実行委員会発行のタクシー割引券を提供して帰宅の便宜を図る。さらには幹線道路沿いで乗り降り自由なマイクロバスの走行や、ホテルの割安宿泊なども予定している。
地域の状況に応じて、こまめに飲酒運転の道をふさいでいくことは大切だ。サービスの充実は客足を増やし、にぎわいを高める可能性も秘めている。採算性や協力体制づくりなど十分に検証してほしい。
防止策の環境が整ったとしても、肝心の運転者自身の認識が乏しければ効果はおぼつかない。悲惨な事故を繰り返さないためにも、あらためて「飲酒運転は罪悪」を肝に銘じなければならない。