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共同通信61億円申告漏れ 公益・収益事業の区分不適正

2008年05月22日18時58分

 全国の新聞社などにニュースを配信する社団法人「共同通信社」が東京国税局の税務調査を受け、07年3月期までの6年間に約61億円の申告漏れを指摘されたことが分かった。非課税の事業と課税対象の事業の経費が適正に区分されていないと指摘されたという。

 赤字決算が続いたため、追徴税額は過少申告加算税を含めて約4600万円。22日に修正申告したという。

 共同通信は、地方新聞社とNHKなど57社が毎年「加盟費」を支払って予算を負担する社団法人。加盟費をもとに取材活動を行い、ニュースを配信することは、公益事業として非課税扱いとなっている。

 一方、全国紙や民放などは共同通信に「契約費」を支払い、国際分野など、ニュースの一部だけの配信を受けている。こちらは税務上、「請負業」に該当、課税対象の収益事業となっている。

 共同通信などによると、かつてはすべてが公益事業にあたるとして申告していなかったが、98年3月期分から税務申告を開始。同社では公益事業と収益事業との収入比率がおおむね8対2程度だったため、取材費など経費についても8対2に案分して振り分け計上していた。

 しかし国税局は、経費はニュースの配信量など、実態に応じて公益事業と収益事業とに区分計上すべきだ、などと指摘した模様だ。

 6年分について計上し直したところ、実際には経費のほとんどが公益事業にかかっていた。その分、収益事業の所得を圧縮していた経費は減少し、新たに約61億円の課税対象所得が生じたという。

 共同通信の関係者は「取材経費を厳密に公益・収益に区分するのは困難で、収入比率に応じて案分してきた。契約社のためだけの取材費は少なく、大半は加盟社向けの取材で情報の『二次利用』というのが実態」と話す。

 社団法人などの公益法人に対しては、事業を公益事業と収益事業に区分したうえで、公益事業については非課税、収益事業についてのみ法人税が課せられる。税率も一般法人の30%より優遇されて22%となっている。(中村信義、舟橋宏太)

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 奥野知秀・共同通信社総務局長の話 これまでの通達に基づき収入比率で経費配分してきた。見解の相違する部分もあるが、最終的には指摘に基づき修正申告した。

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