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[英国]
英国政府、国内の全通信記録を収集する法案を作成中?
テロ対策の一環として監視を強化――議会からの反発は必至
(2008年05月21日)
英国政府は、国内で通信されたすべてのデータを、政府が管理する集中データベースに記録するという草案をまとめ、「通信データ法(Communications Data Bill)」に盛り込む考えがあるようだ。同草案について英国政府は、「治安維持のためには、通信技術の変化に対応し、データ追跡能力を向上させる必要がある」としている。
英国政府は、「現在政府は、テロ対策と犯罪捜査のため、通信データの追跡/収集を継続して行えるよう、どのように法律を改定すべきか検討している初期の段階だ」との声明を発表した。
ただし現時点では、政府が同草案を通信データ法に盛り込むかどうかは未定のようだ。
英国情報コミッショナーのジョナサン・バムフォード(Jonathan Bamford)氏は、集中データベースの導入に否定的だ。「国内のすべての通信記録が1つのデータベースに保管されることになれば、それはやりすぎだ。国民すべての通話と電子メールの内容を、政府が保管することに正当性はない」と指摘する。
さらに同氏は、このようなデータベースが導入された場合、データへのアクセス権を掌握することが必要だと言い添え、以下の問題点を挙げた。
「収集/格納されているデータ量が多いほど、そのデータが紛失したり盗難にあったりした場合の問題は大きくなる。データベースに格納されている情報が大容量であれば、盗難などの危険性は大きくなる」
英国自由民主党で内政問題担当報道官を務めるクリス・ヒューン(Chris Huhne)氏は、「これまでの政府機関の“情報漏洩実績”を見れば、国家に国民の私的な情報を管理させるべきではないことは明らかだ」と、政府の動きを批判した。
また「シャドー・キャビネット(影の内閣)」で内務長官を務めるデビッド・デービス(David Davis)氏も、「国民にとって同法案は、安全よりも(個人情報の流出という)脅威となる可能性のほうが高い」と指摘した。
ちなみに英国政府は昨年、対インターネット犯罪のための組織を、530万ユーロと50人の人材を投じて創設する案を議会に提出している。
(Leo King/Computerworld英国版)
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