DPC(包括払い方式)を導入する病院が増加する「DPC拡大」に対し、一定の歯止めを掛けるルールの策定などが求められる中、5月21日の中医協・診療報酬基本問題小委員会(委員長=遠藤久夫・学習院大経済学部教授)は、2010年度にDPCの対象になる予定の「08年度DPC準備病院」を新たに募集することを了承した。DPC拡大について日本医師会から反対意見は出なかった。 【関連記事】
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DPCの在り方について審議しているDPC評価分科会(中医協の調査専門組織)の西岡清分科会長(横浜市立みなと赤十字病院院長)はこの日の会合で、今年度の「DPCに関する調査案」を示した。調査案では、DPCを導入する予定の病院を「調査に協力することができる病院」と表記。これまで使用していた「準備病院」という呼称を使用していない。
このため、西澤寛俊委員(全日本病院協会会長)が「調査協力病院」と「準備病院」の違いについて質問した。「今までは、この時期に『準備病院』として募集したと思うが、今回は『調査に協力することができる病院』という表現になっている。これはどういう意味か」
厚生労働省保険局の原徳壽・医療課長は次のように回答し、DPCを導入する病院(DPC対象病院)の拡大について意見を求めた。
「今年度から新たに約350病院がDPCに参加した。(来年度の参加を予定している)07年度の準備病院は約700病院あり、拡大のテンポが急速になっている。このような中、『DPCを今後どうするのか』という課題がある。06年度から使い始めた『準備病院』という名前は、『DPCの準備病院をDPC制度の中に確実に入れる』という前提で付けた。これ以上、(DPC対象病院を)広げるということに中医協で合意してもらえるなら、『準備病院』という名前で募集できるが、合意できないなら、当面は『調査に協力できる病院』(調査協力病院)としてはどうか」
これに対し、西澤委員が「2010年度からDPCに参加することを希望している病院は、4月からのデータを提出するために準備をしている。本年度は『準備病院』とすることに決めていただきたい」と要望。支払側の対馬忠明委員(健保連専務理事)は「既に新しい年度に入っており、準備している病院もあると聞いている」と述べ、西澤委員の意見に賛成した。
これまでDPCの拡大に強く反発してきた日医の委員から反対意見はなく、他の委員からも異論が出なかったため、「準備病院」という呼称を使用してDPCを拡大していくことが了承された。
DPCは、医療費の抑制や医療の標準化などを目的に、03年度から高度な医療を提供する「特定機能病院」を中心にスタートした。その後、中小規模の病院も参加して拡大を続けており、今後の在り方について見直しが求められている。
昨年度までにDPCを導入している病院(DPC対象病院)は360病院で、今年度から導入する358病院を合わせると、DPC対象病院は718施設となる。来年度から導入する予定の「07年度DPC準備病院」は約700に上り、この半数が200床未満の中小病院。多様な病院がDPCに参入したことで、医療資源の投入量や患者の病態の多様性が増しており、算定ルールやデータの提出方法などの見直しが求められている。
更新:2008/05/22 18:42 キャリアブレイン
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医師の山田規畝子さんは、脳卒中に伴う高次脳機能障害により外科医としての道を絶たれました。しかし医師として[自分にしかできない仕事]も見えてきたようです。