上伊那医師会(神山公秀会長)は21日、昨年7月から始めた伊那中央病院(伊那市)での開業医による夜間一次救急診療への協力を、契約の切れる7月以降も継続していく意向を明らかにした。昭和伊南総合病院(駒ケ根市)でも、同医師会南部地区が7月半ばをめどに同じ取り組みを始めることが固まっている。
 伊那市のいなっせで同日開いた上伊那広域連合の上伊那医療問題研究会で、同医師会事務局が報告した。20日に市内で開いた市医師会拡大幹事会で、6月末で契約が切れるのに伴い、現在の協力体制を継続する方向を確認した。新たな契約は「1年くらい」を見込んでいるという。
 伊那中央病院救急部医師の減員を受けて、同医師会は平日を中心に午後7時―10時の夜間救急診療に協力し、軽症の一次患者の診療に当たっている。会員27人が参加し、常時1―2人を配置している。
 神山会長は取材に対し「南部も同じ体制となるので、中部も当分は続行してやってみる。続行する中で夜間診療所の設置も考慮に入れていきたい」と話している。
 一次救急を担う夜間診療所について、同医師会は広域連合側が要請している北部、中部、南部の3カ所への開設に対し、昨年10月に「もうしばらく見送る」と回答。引き続き検討する考えを示している。
 こうした中で、伊那市は2010年4月の開所を目指して、旧市営伊那中央総合病院跡地(山寺区水神町)に移転新築する保健センター内への夜間診療所の併設も視野に、同医師会の検討状況を注視していた。
 会合で、同市は医師会の判断を踏まえ、今年度実施するセンターの設計に夜間診療所は含めず、「将来的に設置の動きが出れば、別の場所へ検討する」(健康推進課)とした。
 このほか、総務省が示した公立病院改革ガイドラインについて県伊那保健所が説明した。出席者からは「すべて集約するのがいいのか。上伊那南部は高齢化が進んでいる。(高齢者が)伊那中央病院まで来るのは至難の技」などの指摘もあり、同保健所は連携や経営統合ありきでなく、「地域のことから考えていく」と答えた。
 研究会は8市町村や公立3病院、上伊那医師会などの事務担当者で構成。医師不足など深刻化する医療問題に対応するため昨年8月に発足した。