広島県、県医師会、広島大、県市長会、県町村会の五団体が近く、舛添要一厚生労働相に、地域医療態勢の確保に向けた抜本的な対策を講じるよう求める意見書を提出する。
医師不足の解消や患者の受診マナー改善などを提案し、厚労省が策定中の「安心と希望の医療確保ビジョン」への反映を要請する。藤田雄山知事らが月内に上京し、舛添厚労相に手渡す方向で調整している。
「地域の医療を守るために」と題した意見書は、医師の育成・供給システムの見直し▽医療の担い手を支える多面的取り組み▽国が目指す医療についての国民合意の形成―を三本柱とする。
具体的には、医師不足や地域偏在を解消するため、医学部の定数を増やし、研修医を受け入れる「臨床研修病院」から医師が足りない地域への派遣を制度化するよう求める。
さらに、緊急性が低いのに救急医療に頼るなど患者側の問題点も指摘したうえで、医療の厳しい現状への理解と、受診マナー向上への協力を得るための情報発信を促している。
厚労省の二〇〇六年十二月の調査で、広島県内の人口十万人当たりの実働医師数は六千七百四十人。都道府県で唯一、〇四年の前回調査(六千八百二十一人)を下回った。
五団体は今年二月に共同で緊急アピールを発表している。
県健康福祉局は「地域医療の危機は一刻の猶予も許されない。国民を巻き込んだ議論の必要性を直訴したい」としている。(門脇正樹)
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