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アホウドリのヒナ、すくすく成長 小笠原諸島

2008年05月11日02時39分

 絶滅の恐れがある国の特別天然記念物・アホウドリの新たな繁殖地作りのため、今年2月、伊豆諸島の火山島・鳥島から小笠原諸島・聟島(むこじま)にヘリコプターで運ばれてきたヒナ10羽が、すっかり大きくなって、間もなく巣立ちを迎える。世界初の人工飼育は順調で、アホウドリたちは2メートル近い翼を広げ、大空へ向かう準備を始めている。(中山由美)

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羽ばたくようなしぐさを見せるアホウドリのヒナ。白色は成鳥のデコイ(模型)=10日、小笠原諸島・聟島、小林正明撮影

 東京から約千キロの無人島・聟島。飼育場所になっている西岸の草むらで、アホウドリたちは時折、バサッバサッと羽ばたくようなしぐさをして、吹きつける風を受ける。

 約3カ月、山階鳥類研究所(千葉県我孫子市)の研究員ら5人が交代で泊まり込み、エサを与え続けた。運ばれてきた時は生後40日程度で、体重約4キロ。歩くこともできず、草むらにうずくまっていたヒナは、約6キロにまで成長。むくむくした産毛から光沢のある黒い羽に変わり、くちばしもピンクになり始めた。今月下旬ごろから巣立ちをする見込みだ。

 アホウドリの繁殖地として確認されているのは、世界でも鳥島と尖閣諸島だけ。8割以上が繁殖する鳥島の営巣地は、火山の噴火で壊滅する恐れもある。このため環境省や米国魚類野生生物局が協力し、聟島を新たな繁殖地とするための5カ年事業が今年から始まった。

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