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模合配当停止 「うまい話」はまずない2007年9月6日

 高配当をうたい、多額の出資金を集めた任意団体の配当停止、破たんが県内で相次いでいる。いずれも資金相互扶助の模合や事業への投資を名目にしているが、その形跡は確認されていない。詐欺容疑のほか、不特定多数からの集金を禁止した出資法違反の疑いが強い。
 出資金を集めることだけを目的にしていれば、いつか行き詰まることは目に見えている。「うまい話」はそうはない。必ず裏があり、大きなリスクを伴うことを自覚する必要がある。
 県内でことし、配当停止が確認されたのは4団体ある。満期6週間で20―30%、満期35日で44%、10―14周期で10%、年100%と、高配当をうたっていた。
 これだけの配当を出資者に支払うには、かなりの収益を上げる必要がある。しかし、そのような高収益の事業はほとんどないと言っていい。配当の高さからしてもその団体の怪しさ、危うさは明らかである。
 4団体は利益を生む仕組みにはなっていなかった。エビ養殖事業に投資するとしたワールドオーシャンファームは、投資した金は一部だけでしかなく、集めた金の大半を出資者への配当に回していたとみられている。
 残りの3団体は生活協同組合として出資金を運用したり、事業に投資したりするなどとしていたが、資金運用は確認されていない。
 いずれの団体も、新たな出資者から一定額以上の資金を絶え間なく集めることでしか、配当を続けることはできない。いつかは破たんすることを前提として設立された可能性がある。
 出資者の多くはそれを承知の上でリスクには目をつぶり、利益を追求していた実態がある。出資者の一人は「加入者が途絶えた時点で配当が停止、破たんするのは明らかだった」と証言している。
 別の出資者は「みな他人の損失で利益が生み出されていることを知っていた」と話している。被害者自身が加害者になっている側面もあるのである。
 利益を受けるのはごく一部の初期の投資者に限られる。大半は元金を回収できない仕組みになっている。
 にもかかわらず、それぞれの団体で同じ人が繰り返し会員になっているという。「損失を取り返すため」というのが理由である。それが被害を拡大させることにもつながっている。
 楽して短期間に金を稼ぎたいとの欲求に、高配当を約束する任意団体が付け込んでいるとも言える。しかし、高配当を約束する詐欺の疑いのある団体に出資する人がいる限り、被害は繰り返される。そのような被害の連鎖を断ち切る必要がある。


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