世界的に事件や騒ぎを引き起こす『デスノート』、映画が米国で公開
5月21日12時0分配信 WIRED VISION
写真: WIRED VISION |
漫画作品からアニメや小説、実写版映画、ビデオゲーム、ポルノが派生することは知られているが、漫画『DEATH NOTE』(デスノート)は、作品に触発された犯罪が世界各地で発生し、国際的な論争を巻き起こしている。
『デスノート』は、名前を書き込まれた人は必ず死ぬというノートをめぐる漫画作品。これに基づいて実写版SF映画が制作されたが、この映画のほか、アニメや小説、2部構成のテレビ番組も制作されている。
そしてこの1年間に、原作漫画に関係して、中国とバージニア州でいじめ事件、ベルギーで未解決の殺人事件が起きている。ベルギーの事件では殺人犯が、自分はこの作品の登場人物だと主張している。
「親が自分の子に観るよう勧める類の映画ではない」と、映画『デスノート』の監督である金子修介氏は言う。
漫画は、永遠の娯楽を子どもたちに与えるだけでなく、医療問題、物理学、性教育、民法といったまじめな話題を気軽に紹介する方法として、しばしば日本では利用されている。だが、漫画『DEATH NOTE』によって、日本で最も人気の高い印刷媒体である漫画は国際的に議論を呼ぶ話題に変わり、親たちは、子どもが漫画を読むのを全面的に禁止すべきか思案するようになった。
漫画『DEATH NOTE』は、警察庁幹部を父として、申し分のない家庭に生まれた成績優秀な17歳の少年、夜神月(やがみライト)が主人公の物語だ。
何不自由ない生活を送っていた月は、ある日偶然、死神のノートを手に入れる。月は、このノートにすべての犯罪容疑者の名前を書き込んで、世の中から悪を一掃しようと決意する。月は驚くほど機知に富み、歪んだ善意を抱いていたが、そのうちにブレーキが利かなくなり、無名のヒーローから追跡不能な悪党に変わる。
原作漫画は2003年に『週刊少年ジャンプ』に掲載され、2006年に、この作品を原作とする全37話のアニメが初めて放送された。
アニメ版が日本以外の国に配信されると、作品を模倣した犯罪が発生し始めた。
『DEATH NOTE』論争が最初に巻き起こったのは中国だった。2007年に生徒たちが学校にデスノートを持ち込んだことから、中国政府は、「日本の人気作品が元になっている、ぞっとするようなノートや雑誌」などの販売を禁止した。[リンクされている記事によると、2007年5月の段階で、約2400にのぼる海賊版書籍と400の海賊版ディスクが没収されたという。]
数カ月後、地元警察が「マンガ殺人」と呼ぶ事件がベルギーで起きた。人間の大腿部2本と、これらの大腿部に切断面が整合する胴体がハイキングコースで発見されたのだ。
遺体のそばには、「WATASHI WA KIRA DESS(私はキラです)」と、作品の中に出てくる言葉がローマ字書きされたメモが残されていた。連続殺人犯が関係している疑う人がいる一方で、遺体の一部を手に入れることができる医学生による悪趣味ないたずらという見方もある。
続いて、米国のサウスカロライナ州やバージニア州、アラバマ州で、生徒たちが、敵対者の名前を書き連ねたデスノートの模造品を持ち歩いて停学処分を受けた。
一部の親や教師は、こうした病的な発想が子どもたちに売り込まれていることに激怒しており、『DEATH NOTE』関連の作品を米国で禁止すべきだという声も上がっている。[アラバマ州での事件を報道する4月4日付けの記事によると、米国でのアニメ版『デスノート』は、Cartoon Networkのアダルト向けセクション“Adult Swim”で放映されているという。 ]
金子監督の実写版映画は、5月20日、21日(米国時間)の2日間限定で、米国の一部映画館で公開される[リンクされているサイトによれば、公式にはレーティングされていないが、15歳未満の入場を禁止する「R」指定にあたるとされている。]。
サスペンスや日本人の美少年、カッコいい女性捜査官が好きな人なら、誰でも楽しめる126分のサスペンス映画だ。この映画が日本で公開されてから2年近く経つが、映画フェスティバルに出品された以外で米国公開されるのは、今回が初めてだ。
「『言葉に魂が宿る』というのは、古くから日本にある考え方だ。ある意味で、非常に日本的なストーリーだ」と金子監督は言う。『デスノート』以前の金子監督は、実写版映画『ガメラ』シリーズで知られていた。
金子監督は、作品をめぐって論争が起きているのは滑稽だと思う、と述べている。
「この映画を観るのを防げば子どもたちが良くなるのなら、なぜ、すべての悪いニュースを見せないようにしないのだろうか?」と金子監督は述べている。
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