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スズキ、コマツも残業代見直し トヨタ「カイゼン」受け

2008年05月22日22時27分

 トヨタ自動車が従業員グループで取り組む勤務時間外の「カイゼン」活動に残業代を全額支払うことにしたのを受け、他のメーカーの中にも追随する動きが出てきた。スズキやコマツなどは残業代を支払う方向で検討を始めた。

 スズキは、グループ単位で改善策を検討するQC(クオリティーコントロール)サークル活動にお茶やお菓子代を支給している。今後、残業代として支払う形に見直す方向だ。コマツも自己啓発に関するQC活動は現在、残業代の支給対象外で、これを見直す。トヨタ系部品メーカーのトヨタ紡織もQC活動を「業務」と認定し、月2時間だった残業代の上限を撤廃する方向で検討を始めた。

 QC活動は、自動車や電機メーカーを中心に3万以上といわれる。日産自動車や三菱重工、ソニーなどは「QC活動は業務の延長」(日産広報)などとして残業代を支払っているという。

 一方で、ホンダは「過労にならないように時間を決め、必要な場合には残業代は支払っている」(福井威夫社長)と説明し、見直しは不要としている。JFEスチールも、会社主催の活動発表会やその準備を除き、残業代は支払っていないが、「今のところ扱いを変更する予定はない」とする。

 トヨタは22日、QCサークル以外の「創意くふう提案」活動については、従来通り「自主活動」と位置づけることを明らかにした。自主活動を明確にするため、6月以降、提案内容を考えたり、書類に記入したりする作業を工場の外で行うよう従業員に徹底する方針だ。

 創意くふう提案は、生産現場の従業員が個々にアイデアを出すのが建前。ただ、上司から毎月提案を出すよう促されるのが実態で、QC活動と同様、社内外から「事実上の強制」との批判があった。元トヨタ社員の過労死をめぐる昨年11月の名古屋地裁判決でも、QC活動や創意くふう提案を「使用者の支配下での業務」と結論づけていた。

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