「陸上王国・福島」の未来に暗雲?--。県教委は21日、07年度の県内児童・生徒の体力や運動能力の調査結果を発表し、五十メートル走などで全国平均を下回った。陸上競技の五輪メダル候補を数多く輩出する福島県で、次世代の脚力が不安視されている。
県教委は昨年5~10月、県内の小中高校147校の児童・生徒を抽出し、運動能力や生活習慣などを調べ、年齢(07年4月1日現在)ごとの平均をまとめた。
五十メートル走は、男女とも7~14歳で全国平均を下回った。持久力を計る「二十メートルシャトルラン」も男女とも7歳以降の多くの年齢で全国平均を下回り、走力や持久力が劣っていた。特に、12歳以降でテストした「持久走」の落ち込みが目立ち、15歳男女、16歳男子を除いて全国平均を下回った。14歳男子は千五百メートル走の平均タイムが6分28秒26で、全国平均から約16秒も遅く、ゴールで60メートル以上も引き離された計算となる。
他方、「握力」は男女とも6~13歳で全国平均を上回った。「反復横跳び」もほとんどの年齢で男女とも全国平均を上回り、基礎体力が高いことをうかがわせた。種目と学年を掛け合わせた全204項目のうち、全国平均を上回るか同等だったのは76・5%の156項目に上った。
県教委学校生活健康課は「都会より地方はクルマ社会が進み、子供たちも歩かなくなったのが原因かもしれない。体格や基礎体力は優れており、運動能力が向上する可能性はある」と分析した。県教委は福島大と共同で作成した「体力向上プログラム」の活用などを各学校に呼びかけていく方針。【松本惇】
毎日新聞 2008年5月22日 地方版