厚生労働省は5月21日、創設を検討している「死因究明制度」の第三次試案についてのパブリックコメントの中間まとめを公表した。4月4日から5月16日までの間に647件の意見が寄せられ、このうち医師からが326件と過半数を占めた。厚労省は「意見募集については、引き続き行っております」としている。
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寄せられた647件の内訳は、個人が596件で、団体が51件。個人の内訳は、医療従事者が468件と圧倒的に多く、「一般」が80件、「不詳」が42件、弁護士が6件だった。医療従事者は医師(管理者を除く)が326件で最も多く、医療機関の管理者は133件、薬剤師と「その他医療従事者」はそれぞれ3件、看護師は2件、歯科医師(同)が1件だった。個人のうち、医療紛争の当事者になったことがある人からの意見が120件あった。
医師からの意見では、「根本的な部分が第二次試案と変わっておらず、医療崩壊を加速させる」「医療安全調査委員会の設置自体はよいが、内容を再考してほしい」「WHO(世界保健機関)のガイドライン草案に沿った医療安全の仕組みにすべき」「医療安全調からの指示があるまで警察に捜査させないでほしい」などがあった。
■「医療安全調の業務は刑事手続きの前提手続き」
医療法務弁護士グループ代表の井上清成弁護士からの意見では、「医療安全調は警察の捜査開始と検察の刑事処分をうまく制御できない」として、検察は医療安全調からの連絡がなくても起訴に踏み切れることなどを説明している。
法律用語である「重大な過失」の使用方法が間違っているとも指摘し、削除を求めた。「重大な過失」の定義の中にあった「標準的な医療行為から著しく逸脱した医療」の文言についても、「何ら具体例も示されておらず、甚だ不明確であり限定性に欠ける」とした。
調査報告書が刑事手続きなどに利用されることからも、医療安全調の業務を「民事手続き、行政処分、刑事手続きと連続した前提手続き」と断言。設置場所は内閣府にするよう要望した。最後を「(第三次試案は)抜本的な再検討をしなければならない」と締めくくっている。
更新:2008/05/22 21:37 キャリアブレイン
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08/01/25配信
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医師の山田規畝子さんは、脳卒中に伴う高次脳機能障害により外科医としての道を絶たれました。しかし医師として[自分にしかできない仕事]も見えてきたようです。