医師の半数が、製薬会社の医薬情報担当者(MR)から職場外で食事の接待を受けていることが、文部科学省研究班(主任研究者・尾藤誠司・国立病院機構東京医療センター臨床疫学研究室長)の医師アンケートで分かった。医師とMRとの関係についての実態調査は初めてといい、尾藤室長は「患者の利益に反しない適切な関係作りが必要だ」と指摘している。
調査は今年1~3月に実施。全国の病院・診療所で働く医師のうち内科、外科など医師数が多い7診療科の計2624人(病院管理職を除く)が対象で、1411人から回答を得た(回答率54%)。
医師の73%はMRを「医師の生涯教育にとって必要」と考えており、週1回以上話をする医師も70%いた。
一方で、職場外で食事を提供されたことがある医師が49.4%いた。ほとんどは月1回以下だったが、週1回以上も0.4%いた。
ボールペンなど文具の提供を受けている医師は96%に達した。
製薬会社がスポンサーの勉強会に参加する際、交通費などを受け取ったことのある医師も49.4%いた。
また、医師の1割は「MRからの贈り物は(その会社の薬を優先的に使うなど)自分の薬の処方の仕方に悪影響がある」と答えた。
製薬業者の営業社員はかつてプロパーと呼ばれ、薬剤価格を医師らと決めていたが、値引き競争や接待など医師との不透明な関係が問題化。91年、価格決定は医薬品卸業者に任せ、プロパーは薬品に関する学術情報などを医師に伝えることが中心のMRとして職務内容が見直されていた。
尾藤室長は「10数年前に比べると物品や食事提供は減っていると思う。医師と製薬会社の適切な協力関係は必要だが、医師が贈り物などに影響されるようなことがあってはならない」と話している。【大場あい】
毎日新聞 2008年5月22日 15時00分
5月22日 | 医師:半数が製薬会社担当者から接待 |