ケンミレ・アイ
下がったときに嬉しくなる投資家になろう
≪要約≫
相場が下げましたので、いつものシリーズを休んで相場環境と投資タイミングの取り方についてレポートします。
≪本文≫
約2週間ぶりに相場が下がりましたが、本日の下落を見て「しまった」と思った投資家は敗者で、「素直にラッキー」と思った投資家は勝者になる可能性が高くなるというのが、これまでシリーズで書いてきたレポートで伝えたかったことです。そして今回の高値は、ちょうど一週間前のレポートでお伝えした「TOPIXの中期バリューのオーバーバリューライン」でぴたりと上げ止まる格好となりました。
株式投資は「安いときに買って、高いときに売る」ことで利益を上げることができますので、相場が下がって株価が安くなったときは「買うチャンス」となります。そうしますと、次に考えなくてはいけないことは「どこで下げ止まる可能性が高いか?」ということです。
株式投資の世界には、「このあたりで株価が下げ止まりそう」というさまざまな下値抵抗ラインや節目と呼ばれるものがありますが、上記のTOPIXチャートにこれらの下値抵抗ラインや節目を表示すると、次のようになります。
「どのような下値抵抗ラインや節目」が「どのあたりに存在しているか」を分かりやすく説明するために、さまざまな種類の抵抗ラインや節目をあえて一つ一つに分けましたので、たくさんの抵抗ラインが存在するように見えると思います。しかし、実際にチャートでチェックするときに、いろいろな抵抗ラインを重ねて表示しますので、ある程度の値幅の中に「複数の抵抗ラインが集約される価格帯」があることに気付くと思います。
(1)これまでの上昇相場のように大きな押し目とならない場合
・現在値近くの長期バリューのフェアバリューライン
・1355p前後の「自分で引いた抵抗ライン」
・1340p前後の「短期波動の下落率」と「価格帯別出来高」
(2)長期下落トレンドのフェアバリューを挟んで推移する場合
・1320p前後の「1/3押し」
・1310p前後の「自分で引いた抵抗ライン」「ケンミレ抵抗ライン」「0.382押し」
(3)中期上昇トレンドの居心地が良い株価水準まで下落する場合
・1300pを下回ったところにある「中期バリューのフェアバリューライン」
・1280p前後の「価格帯別出来高」や「1/2押し」
(4)中期バリューのフェアバリューを下回った場合
・1255p前後の「自分で引いた抵抗ライン」
・1243p前後の「0.618押し」
・1230p前後の「2/3押し」
(5)中期バリューのアンダーバリューラインまで下落する場合
・1180p前後の「自分で引いた抵抗ライン」
(6)中期バリューの上昇トレンドが終了して、下落トレンドに転換した場合
・1140p前後の「ケンミレ抵抗ライン」や「全値押し」
つまり(1)〜(6)までの価格帯のいずれかで、TOPIXは下げ止まる可能性が高いというシナリオを想定することができます。したがって、この中の「どこで実際に下げ止まるのか?=TOPIXがどこまで下がったら買う準備をするか」のタイミングを決めるということになりますが、ポイントは『自分がどこまで投資リスクを取ることができるのか?』で決定することです。
ただし、これらの抵抗ラインの中からたった一つだけを選ぶということではありません。投資リスクを抑えることも重要ですが、それ以上に下がったタイミングで勇気を出して買うことが重要となります。そのための方法として、ケンミレでは『株式組入比率』を考えて待ち伏せ買いするようにします。
たとえば、「調整して大きな押し目を作らない可能性がある」と考える投資家であれば、(1)の株価水準で株式組入比率20%まで投資して、さらに下がった場合は(3)の株価水準で株式組入比率30%まで追加で投資して、合計で株式組入比率50%まで買うというような方法です。そうしますと、万が一、予想外に下がったときにも「さらに割安な銘柄に投資できる資金を確保」しながら投資できるようになりますので、心にゆとりが生まれて冷静に投資することができるようになります。
いずれにしましても、株価が上がったときに「最高値を当てることは不可能」と同じように、どの抵抗ラインや節目で下げ止まるのかは「そのときの株式市場を取り巻く環境によって決定」されますので、株価が下がったときも「最安値を当てることは不可能」となります。
したがって、「底値を当てよう」と考えるのではなく、自分が取れるリスクに応じて「相場が下がったとき」に確実に買えるように、抵抗ラインと株式組入比率をセットにして「どの抵抗ラインで、どれだけの資金を投資するか」を考えて行えば良いと思います。
レポート担当 田中達也
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