フロリダ州フォートローダーデール(AP) ハイチの少女を自宅で酷使し、「奴隷」のように扱ったとして、米フロリダ州の地方裁判所は20日、元教師のモード・ポーリン被告(52)に対し、禁固7年以上の判決を言い渡した。
ポーリン被告宅で奴隷状態に置かれていたシモーヌ・セレスタンさんは、14歳だった1999年に米国に連れてこられ、ハイチ孤児が暮らす施設に入ったが、2005年に逃げ出していた。
同被告はフロリダ州マイアミの自宅で、1日15時間、セレスタンさんを毎日働かせていた。労働報酬を出すこともなく、たびたび暴力で脅し、床で眠るよう強要していた。セレスタンさんは、自殺を考えたと証言している。
一方、ポーリン被告は、「シモーヌを心から愛していた」と反論。不幸なハイチ人の少女を手助けしているつもりだったと述べていた。また、娘のエリカ・ポーリンさんも、「母はモンスターではない。家族や友人、多くの人々を励ます人物」だとかばっていた。
しかし、ホセ・ゴンザレス裁判官は、「非常に深刻な犯罪である」と指摘。被告も、「悪いことをしてしまった。自分自身を責めている」と、反省している様子だった。
ポーリン被告のほか、母親のイブリン・セオドア被告(74)と、元夫のセイントフォート・ポーリン被告も、犯罪に関わったとして起訴されている。セオドア被告は心臓の発作を起こしたため、公判が延期となったが、セイントフォート・ポーリン被告は2001年に家を出ており、直接な関わりはなかったと判断され、保護観察処分18月が言い渡された。
モード・ポーリン被告はマイアミ州の中学校教師だったが、教員免許をはく奪された。セオドア被告とともに、セレスタンさんに対して、16万2000ドル(約1700万円)の補償金支払いを命じられた。
国連児童基金(ユニセフ)の推計によると、国内情勢が悪化しているハイチからは、毎年約1万7500人の子供たちが、米国に連れてこられ、奴隷のように扱われている。