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外壁波打ち、岩めくれ 決壊なら60万人濁流に '08/5/21

 【〓川(中国四川省)20日共同=芹田晋一郎】「こんなに大きな亀裂があるのに安全な訳ないだろ」。ダムの修理作業に当たっていた男性は、両手を大きく広げて亀裂の幅を示した。中国・四川大地震による損傷で、決壊の懸念も指摘される四川省アバ・チベット族チャン族自治州〓川県の紫坪埔ダム。外壁の中心部が波打ち、敷き詰められた岩がめくれ上がっていた。

 紫坪埔ダムは、日本最大の徳山ダム(岐阜県)の二倍弱に当たる十一億一千二百万立方メートルもの総貯水量がある巨大ダム。決壊すれば、約九キロ下流の都江堰市が濁流にのみ込まれることは確実で、約六十万人の命が危険にさらされる。

 堤頂部には幅五十センチを超える亀裂が数十メートルにわたって走り、欄干はほとんど倒壊。ダム内部の遮水壁を支えるため外側に敷き詰められた岩は、中心部で縦横十メートル以上にわたって波打つように崩れ、地震の破壊力のすさまじさを見せつけていた。

 四川省の水利当局はダムの安全確保のため、通常を大幅に超える放流を続ける。ダムからは濁った大量の水が巨大な滝となり、水しぶきを上げて川に流れ落ちる。世界遺産に登録されている下流の水利施設「都江堰」でも、危険水量に迫るほどの濁流が流れていた。

 中央気象台の予報では二十日から三日間、ダム上流は雷雨となる見通し。さらに地震局は同日中に最大マグニチュード(M)7級の余震が起きる可能性を警告する。専門家は「ダムは構造的に安定していて安全だ」と強調するが、二十四時間態勢の監視が続く。

◇お断り 〓は「さんずい」に右が「文」ですが、JISコードにないため、表記できません。




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