財政制度等審議会(財政審)における議論の中で、現在の診療報酬は「診療所優位」として格差是正を求める声が上がっていることについて、日本医師会の中川俊男常任理事は定例の記者会見で、一般診療所で掛かっている医療費が病院よりも少ない点などを指摘して、こうしたとらえ方に反論した。
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保険免責制導入の必要性を示唆 中川氏は、診療所では再診料が病院よりも高く設定されている一方で、病院が算定できる「入院時医学管理加算」が入院設備のある有床診療所では算定できない点などを強調。「病院と一般診療所の数の比率はおおむね1対9だが、必要な医療費は7対3と逆転する」と述べた。
その上で、「病院と診療所の(点数)格差については、中央社会保険医療協議会(中医協)で継続的に議論することになっているので、この結果を尊重すべきだ。表面的なことだけを見て病診格差を是正すべきだと言うのは、はなはだ場違い。医療関係者や国民に対して失礼だ」と財政審を厳しく批判した。
財政審の部会が4月25日に実施した医療関係者からのヒアリングでは、診療所に比べて大規模病院が診療報酬の面で冷遇されているとして、改善を求める声が出た。また、部会終了後の記者会見で財政審の西室泰三会長は、中医協について「利害関係者間の議論になるので、小幅な改正(診療報酬の改定)しかできない」と発言し、中医協改革が必要だとの考えを表明。このほか、外来診療に掛かる医療費の一部を患者負担扱いにする「保険免責制」の導入の必要性にも言及している。
このうち中医協改革について、中川氏は会見で、「支払側と診療側と公益委員がいる。相対的にも絶対的にもバランスが取れたメンバー構成と言えるのではないか」とする一方で、「財政審こそ偏った利害関係者の集合ではないか」と強調。「財政審の言う中医協の在り方が非常に問題だというのは当たらない」と反論した。
保険免責制については、「いったん導入されると、なし崩し的に限度額が上がるのは、患者負担の引き上げの歴史からみても明らか」と述べ、患者による受診抑制や公的負担の形骸(けいがい)化への懸念を表明。さらに、「一時的には国の財政や経済界にメリットをもたらすかもしれないが、最終的には疾病の重症化や公的保険の崩壊につながり、誰も幸せにならない」と述べた。
更新:2008/05/09 20:14 キャリアブレイン
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08/01/25配信
高次脳機能障害に向き合う 医師・ノンフィクションライター山田規畝子
医師の山田規畝子さんは、脳卒中に伴う高次脳機能障害により外科医としての道を絶たれました。しかし医師として[自分にしかできない仕事]も見えてきたようです。