20代の女性にストーカー行為をしたとして、山梨県警生活安全企画課は21日、東京都文京区千石3、宇都宮地裁判事、下山芳晴容疑者(55)をストーカー規制法違反容疑で逮捕した。同地裁によると、女性は裁判所職員という。
調べでは、下山容疑者は甲府地家裁都留支部長だった08年2月19日~3月19日、山梨県内の女性の携帯電話に「今度いつ会えるかなあ」などのメールを匿名でインターネットカフェなどのパソコンから十数回送信し、女性に不安を与える行為をした疑い。恋愛感情が受け入れられず恨んでいたらしい。
女性は3月18日に県警に相談、4月10日に告訴していた。下山容疑者は5月21日、県警の要請に基づき出頭した。県警は同法に基づく警告は出していなかった。県警は容疑の認否については明らかにしていない。
下山容疑者は1981年、司法試験に合格後、浦和地裁(現さいたま地裁)や東京地裁などを経て、甲府地家裁都留支部に04年4月~08年3月まで勤務していた。
宇都宮地裁によると、下山容疑者は4月3日、宇都宮地家裁足利支部長に着任。しかし、4月10日、東京高裁から宇都宮地裁に、女性が被害を訴えたと連絡があった。西岡清一郎地裁所長は同日、下山容疑者を地裁に呼んで事情を聴き、同日以降、自宅待機とした。その後、自宅待機のまま支部長職にとどめ続けるのは難しいと判断して23日、地裁第2民事部付に異動させた。
西岡所長は会見で「現職の裁判官が逮捕されたのは極めて遺憾。捜査状況を見ながら厳正に処分する」と話した。【藤野基文、曹美河、吉村周平】
最高裁によると、現職裁判官の逮捕は3例目とみられる。81年に破産管財人からの収賄容疑で逮捕された東京地裁判事補(起訴猶予)と、01年に少女を買春するなどした児童買春禁止法違反容疑で逮捕された東京高裁判事(有罪確定)は、いずれも裁判官弾劾法により罷免されている。
最高裁の大谷直人・人事局長は「現職裁判官が逮捕されたのは極めて遺憾。処分については捜査状況も見ながら、厳正に対処したい」とのコメントを出した。【北村和巳】
毎日新聞 2008年5月21日 22時04分(最終更新 5月22日 0時40分)