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教育 |
(1)教育改革は
現場から
これまで、教育改革という名目で多くの施策が行われてきました。それら数々の教育改革の結果ではっきりしていることは、教師が忙しくなったという事実で
す。
教育改革の取り組みを示すために教育委員会・文部科学省に提出する書類を山のように作らなければならない、新しい改革が始まるたびに、教師が作らなくて
はならない計画書や報告書といった書類が増えていきました。そして、その書類づくりのために子どもたちといっしょに給食を食べる時間もない、放課後に子ど
もたちといっしょに部活をする時間もないのです。
文部科学省の教員勤務実態調査によると、小中学校教員の勤務時間は1日約11時間、残業は40年前と比べて5倍に増えています。しかも、そのような教師
の残業によって作られた書類を教育委員会や文部科学省の役人が読んでいるかといえば、とうていそうは思えない状況があります。
書類のために時間におわれ、そして子どもと接する時間を奪われた教師たちを書類づくりから解放することが必要です。
教師に書類づくりや雑用をさせない、学校に事務職員を配置する、国の不要な介入を
やめさせるなどして、生徒に先生を返します。
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(2)教育再生会議は解散
現政権下で始まった教育再生会議は、教師を書類づくりから解放するどころか、政治と行政が教育に口を出し、しかし金は出さない、そして教師と子どもを競
争させて疲弊させています。
その結果は、教師たちから誇
りとやりがいを奪うことにしかなりません。
そんなことでど
うやって教育が再生できるのでしょうか。
今求められているのは、子どもの健やかな成長を第一に考え、現場を担う教師の目線で行われる改革です。
「霞ヶ関」の机の上では改革はできません。
教育の再生は、教育再生会議を解散・廃止することから始まります。
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(3)教育予算の充実を
自然資源が少なく、領土も狭い日本にとって、最も重要なのは「人」です。
日本が誇る「ものづくり」を支えているのも、実は人です。
そして、「人づくり」こそが、日本の未来を決めるといっても過言ではありません。
しかし、日本が「人づくり」である教育のために投じる予算は、国際的に見て少なすぎます。
OECDに加盟する30ヵ国のうち、日本の教育予算は最低水準です。国内総生産に対する国・地方をあわせた教育予算の比率は3.5%しかありません
(OECDの平均は5.2%で、日本の1.5倍)。しかも、日本の教育予算は、「財政再建」という名目で減らされつつあります。
これでは、人づくりはできません。
「人づくり」である教育にもっと投資する必要があります。OECD諸国の平均程度、現在の教育予算
の1.5倍の予算を教育に割り当てるよう求めていきます。
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(4)高等教育の無償化に向けて
日本が締結している国際条約のひとつに、国際人権規約があります(1979年批准)。
しかし、その人権規約の中にある高等教育の無償化に関する条文の批准については、日本政府は保留し続けています。
この条文は、教育を受ける機会の平等を保障するために、大学などの授業料の無償化に向けて努力することを各国に義務づけるという内容です。現在、この条
項を保留している国は3ヵ国しかありません。
今の日本の大学の学費は、世界でも有数の高さになっています。OECD加盟30ヵ国中、大学の授業料が1000ドル以下(日本円で12万円程度以下)の
国は17ヵ国に及びます(うち7ヵ国は無料)。
しかし、日本では、国立大学の授業料は53万円、日本の全大学生の約3/4が在籍する私立大学の授業料は平均で年間100万円を超えています(施設・設
備費を含む)。また、奨学金による学生支援も非常に遅れています。
その結果、大学費用の家計負担率は世界一です。この高等教育における学費の高さ、大学に行くと途方もないお金がかかるという現実は、少子化の最大の原因
であると考えます。この世界的
に見ても非常識な状況を是正し、教育を受ける権利を保障するために、そして少子化対策という意味でも、高等教育無償化の条項の批准を進めていきます。
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(5)まずは学費の1/3の国庫補助を
多くの国では、将来国を支える自国民の学費は留学生の学費より安く設定されています。
それは、自国の学生が、納税者の子どもであり、未来の納税者だからです。
将来、国を支える国民を育てるために存在するのが、学校であり、大学なのです。
ところが、今の日本では留学生よりも自国学生の授業料の方が高いのです。
その理由は、「留学生10万人計画」に基づき、留学生の学費を減免しているからです。
留学生は、国費留学生と私費留学生とにわかれますが、国費留学生の学費はタダ、私費留学生でも1/2〜1/3の授業料が減免されています。私立大学の場
合でも、私費留学生の授業料減免分が私学助成金に加算されています。
なぜ日本では、自国学生ではなく、留学生を優遇するのでしょうか。
将来の納税者であり、国を支える自国学生をあまりにも軽視しすぎです。そして、国際的に見ると非常識です。
将来の国を支える若者を育てるために、そ
して高等教育無償化の第一歩として、まずは留学生並みの1/3の学費の直接助成を日本人の全学生に適用するよう求めていきます。
※国立大学の現在の授業料相当額の1/3の額を全大学生に助成した場合、約5000億円の予算が必要となります。
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(6)私立高校に生徒・親の負担軽減を
大学だけでなく、高校に対する教育支援も重要です。
現在、高校進学率は97.7%とほぼ100%に近い状態です。うち約3割が私立高校に通っています。(2006年度学校基本調査)。ほぼ全入に近い状況
であり、私立高校は、高い進学率を支える重要な教育機会となっています。
しかし、私立高校に通う生徒への公的支援は少なく、その親には過重な負担がのしかかっています。
この負担を軽減するために、私立高校に通
う生徒に対して、直接の授業料補助を行うことを提言します。
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