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自民の国籍特例法案を歓迎する在日コリアンと日本人が集う

黒井孝明2008/03/14
自民党法務部会が検討している特別永住者の帰化要件を緩和する法案をめぐって、推進・反対を唱える市民団体のあいだで議論が活発化している。
日本 人権 NA_テーマ2

 直接のきっかけは今年1月、河野太郎衆議院議員が座長を務める自民党の国籍問題プロジェクトチームが、特別永住者の日本国籍取得を容易にする法案の今国会提出を目指していると報道されたことだ。

 在日コリアンの日本国籍取得の権利をもとめる「在日コリアンの日本国籍取得権確立協議会」(確立協)は9日、東京・猿楽町の在日韓国YMCAで集会をひらいて自民党のこの動きを歓迎した。40人ほどが参加した。

 確立協は同日声明を出し、同法案を「(日本政府の)歴史的過誤の反省の上に立つものと考えられ、実質的に在日コリアン一人ひとりの国籍取得権を認めたことになります」と位置づけている。また、「この法案が党利党略に利用されることなく」との一文を入れており、国籍特例法案が思想信条に利用されることに抵抗感を示している。

 一方、同会場の前では、同法案に反対する「在日特権を許さない市民の会」の会員など約30人が集まった。主催者は「いまでも在日コリアンは優遇されている。ほかの外国人は国籍取得に2、3年かかるが、在日コリアンは半年ほどだ」と主張した。

 ちなみに、特別永住者を対象に、届け出だけで日本国籍の取得を可能にする「特別永住者国籍取得特例法案」は、01年に自民、自由、公明の与党3党が提出を前向きに検討した。しかし与党内の反発から提出されなかった経緯がある。今回、自民党が検討している法案もこれを下敷きにしているものとみられている。

 また同法案は、民主、公明などが推進している外国人参政権を認める法案とあわせて議論されてきた背景もあり、両法案は切り離して議論される性質のものではなかった。

 たとえば民主党は、外国人参政権について、1月末から推進・慎重両派が勉強会をひらき、それぞれ議論を交わしている。

 民主党の慎重派は過去の議論のなかで、自民党の特例法案と同様の「届け出制」を含めた帰化要件の緩和案を検討していた。外国人参政権を与えるよりも先に(あるいは与えない代わりに)、まず国籍取得を容易にさせよう、という考え方だ。しかし、それもいくつかの案の一つで、結局8年も結論が出されていない。

 9日の確立協の集会では、自民党の特例法案を歓迎する向きが強かった。今後の動向に目が離せない。

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