四川大地震の被災地では、学生たちを中心とするボランティアが目立っています。「愛国的ボランティア」と言われている活動ですが、行き過ぎた活動ぶりで、当局にとって頭痛の種になっています。
「被災者の痛みは私たちの痛み。私たちの支援は彼らの希望」(国営中国中央テレビの地震特集)
連日放送されるのは、救助隊の活躍や奇跡の生還劇です。今回の大地震は、報道を通じ、中国のナショナリズムを刺激しています。
成都市内にある中国共産党の青年組織です。愛国心に燃える中国の若者たちは、ここから続々と被災地に向けて出発しています。被災地で援助物資の配布やガレキの後片付けを手伝う災害ボランティアの登録所には、中国各地からこれまでに6万人あまりの申し込みが殺到しました。
「せいぜい、3、4万人かと思った。各地から自費で飛行機や列車で来ています」(登録に来た学生)
地震前に相次いだ、チベット問題をめぐる中国批判や聖火リレーでの抗議行動。ナショナリズムの矛先は、外国製品のボイコットに向かいました。そして、今回の大地震。学生たちは、愛国的ボランティア活動に新しい目標を見出したのです。
「私には物資を運ぶことぐらいしかできないが、少しでも貢献したい」
「心が痛むけど、温首相や人民解放軍が迅速に動いたことに感激です」(登録に来た学生)
しかし、地元当局は、被災地に大勢の市民が勝手に入り、被災地の交通や通信に大きな負担となっているとして、愛国的ボランティアの自粛を求める異例の広告を新聞に掲載しました。
実際、被災地では、「救災」という貼り紙をした自家用車が数多く走り回っています。中国当局としては、善意の活動を頭ごなしに否定できないだけに、行き過ぎたボランティア精神に困惑しています。(19日17:55)