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四川大地震 震源、チベット族多数 山間部、安否は不明

5月14日8時2分配信 産経新聞


 【上海=前田徹】中国・四川大地震の震源地が四川省アバ・チベット族チャン族自治州だったことで、中国が数多くの少数民族を抱える多民族国家だという現実に改めて関心が集まっている。四川省はチベット自治区に隣接しており、特にチベット族が多く、州都の成都にはチベット族居留区までできている。しかし、多くは震源地に近い山間部に暮らしており、今回の地震でさらに厳しい状況に置かれたと心配されている。

 中国は全人口の9割を漢族が占めているが、1億500万人弱ほどが55の少数民族に属している。四川省も総人口8600万人のうち570万人が少数民族で、とりわけ多いのがチベット族(150万人前後)とされ、チベット自治区に次いでチベット族が最も多い省として知られている。

 問題のアバ・チベット族チャン族自治州は、チベット族のほか古代羌(きょう)族の末裔(まつえい)といわれるチャン族らが住んでいる。震源地の●川(ぶんせん)県は同自治州13県の中で最南端に位置し、被災者が続出している都江堰市や綿陽市北川県と隣接している。

 いまのところ隣接地域からの被害が多く報告されているが、●川県やその北側に広がる山間部は救援の手が届きにくいためか、被害実態が全く分からない状態が続いており、こうした少数民族地域での実態が明らかになれば、さらに被害が大きくなるとの懸念が出始めている。

 四川省の少数民族は自治州や自治県に主に住んでいるが、成都に住む観光関係者の話では、チベット族が成都まで出稼ぎにやってくるケースが年々増え、いまでは市の北部に貧しいチベット族の居留区ができており、3月のチベット騒乱の際にはこの地域で漢族が襲われる流血事件が起きた。このため日本人観光客が激減し、市観光局は「チベット族に対し非常に神経質になっている」という。

 今後、震源地一帯の自治州の被害実態が明らかになるにつれ、貧困や漢族との対立などチベット族の問題もクローズアップされる可能性がある。

●=さんずいに文

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最終更新:5月14日8時2分

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