「ガチャガチャ」市場縮小 巻き返し模索、ゲーム連動も2008年05月12日 「ガチャガチャ」の呼び方で親しまれるカプセル玩具。新製品や販売機の大量投入で成長を続けてきました。しかし、足元では市場が縮み、伸び悩んでいます。メーカーは大人向け商品を強化し、巻き返しに懸命です。丸いカプセルは、どちらに転がっていくのでしょうか。(高野真吾)
◇ ゴールデンウイーク中の3日午後、東京・神宮球場でカプセル玩具会社のイベントがあった。青い自動販売機14台が、横一直線にずらりと並ぶ。野球帽をかぶった子どもたちだけでなく、大人も100円玉を握りしめて行列をつくった。 主催はタカラトミーの子会社の「ユージン」。カプセル玩具市場で年間約60億円を売り上げる業界2位企業だ。 この日は、プロ野球のヤクルト球団と協力して開発した金属製のミニユニホームをカプセルに入れて用意。人気選手だけでなく、売り出し中の若手も含めて10種類をそろえた。代金は1回、300円。 昨年8月にロッテ球団と組んで、同様の限定商品を売り出し、約2万個が売れるヒットになった。今年はヤクルトを含め3球団を追加する。 マーケティング課の市川睦(まこと)さんは「普通に野球商品を売ると、売り上げは人気選手に偏る。カプセルだと球団が後押ししたい選手を入れ、満遍なく商品が出る」と球団側の利点を強調する。 ■種類増えすぎ興味そぐ カプセル玩具は、70年代に本格的に全国に広まった。街角の駄菓子屋やおもちゃ屋の前に販売機が置かれた。硬貨を入れてレバーを回し、丸いカプセルを取り出すスタイルは今と同じ。当時は1回、20円ほど。77年にはスーパーカー消しゴムが大ヒットし、一挙に知られるようになった。 いまでは年間約200億円を売り上げ、シェア6割超の最大手「バンダイ」が参入したのもこの年だ。いきなり100円機を投入し、83年には人気漫画「キン肉マン」の消しゴムが爆発的に売れた。 バンダイは94年に、ユージンが98年に精巧でリアルさを追求した人形(フィギュア)を投入。人気テレビやゲームの登場人物のシリーズで、子どもだけでなく大人にまでファンを増やし、300億円規模の市場になった。販売機をショッピングセンターの一画に100台程度並べるなど、大量投入したのも売り上げ増につながった。 だが、06年度は一転して縮小に。ヒット商品はなかなか出なくなった。フィギュアにできる人気キャラは底をつき、競争激化で商品の種類を増やしすぎて、かえって買い手の興味をそいでしまったと見られている。 ■コスト上昇も悩み 巻き返しを図るバンダイは昨年11月、新機軸のカプセル玩具を売り出した。人気アニメ「ガンダム」のフィギュアとゲームを連動させた「データップ」だ。 カプセル自販機とゲーム台を組み合わせ、買ったフィギュアを使ってその場で遊べる。台のパネル上にフィギュアを置くと、内蔵のICチップが認識されて画面上に同じロボットが登場。フィギュアを左右に動かすと、画面内のロボットも動き、敵と戦える。対戦記録はフィギュア内のICに記録される。 バンダイベンダー事業部の小宮山善一ゼネラルマネジャーは「フィギュア集めとゲームを同時に楽しめる。カプセル玩具の新しい可能性を追求した」と語る。年間10億円の売上高を目指す。 ユージンは、ギリシャ彫刻を中心とした石膏(せっこう)デッサンや、医学部の授業でも使える骨格や内臓人体模型など大人向けの商品を続々投入。質を高め200円、300円でも買ってもらおうとしている。 もう一つの課題はコスト増対策だ。プラスチックやゴムの値上げに加え、生産拠点の中国での人件費や輸送費の増加で「製造原価は3割アップ」(ユージン)という。しかも、カプセル玩具は10円刻みの値上げは難しい。 バンダイはカプセルの使い方を工夫し始めた。これまで200円商品は直径65ミリ、100円商品は同50ミリと決めていた。販売機への入れ間違いを防ぐためだ。しかし、4月から携帯ストラップなど小さいものは200円でも小型容器に入れる。年間200トンほどプラスチックの使用量が減り、経費も削れるという。 PR情報ビジネス
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