基地内労働の被害・支援者/パワハラ根絶へ会結成
米軍基地で働く日本人従業員へのパワーハラスメントが相次いでいるとして、当事者や関係者は二十日、「基地労働者パワハラ被害者及び支援者の会」を結成した。同日までに従業員や支援者七十人が賛同している。設立の準備段階で、各職場で実施したアンケートでは、回収した六十三人のうち二十六人が「パワハラ被害を経験した」と回答。うち十一人が「自殺も考えた」とするなど深刻な実態も浮き彫りになった。
同会では被害根絶のため、当事者と支援者が連携し、関係機関などへの訴えを強化していく方針だ。
同日、北中城村内で開かれた結成総会では、パワハラ被害を受けたとして上司を提訴している元従業員の安村司さんを代表に選出。安村代表は「基地従業員の雇用主は沖縄防衛局だが、実際は米軍に雇われているのと同じだ。人事権を米軍が握っている以上、防衛局も労組も限界があり、多くの仲間が被害に遭っている」と指摘。「支援者の力を借り、苦しんでいる人を助けたい」とあいさつした。
同会では、独自にアンケートを進めながら、防衛局のほか、全駐労、沖駐労の両組合などに徹底調査を求めていく。その上で、会員同士の連携強化で、基地従業員の労働環境の実態を明らかにし、相談窓口の設置など具体的な救済策を検討する。
参加した男性は「上司から理不尽な命令を受け、事実無根の始末書にサインを強要された。人事部門に弁明書を出したが、(どちらの言い分が正しいか)判断するのは、命令を出した上司と説明され、精神疾患になった」と声を震わせた。別の男性も「身に覚えのないことで文書を作成され、数カ月の出勤停止を命じられた。声を上げることで社会問題として提起したい」と訴えた。
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63人中26人「経験」・11人「自殺考えた」
職場内調査
「基地労働者パワハラ被害者及び支援者の会」が設立準備の一環で実施したアンケートでは、回収した六十三人中約四割の二十六人が被害経験があると回答。うち十人が現在も時々、または頻繁に受けていると答えた。回答者の約二割に当たる十一人がパワハラ被害で自殺を考えた、または実際に自殺未遂をしたと回答した。
被害に遭い、過去に体調を崩した、または現在も崩していると答えた人も二十四人に上った。
また職場で自分以外にパワハラを受けている人を知っているかとの問いには、二十五人が知っているとした。
同会の安村司代表は「思っていた以上に、非常に深刻な状況だ。サンプル数は少ないが、公正を期すため各職種の各職場でランダムに調査した結果だ。これ以上被害者を増やさないために、職場の環境改善に向けて声を上げていきたい」と話した。
アンケートは、同会設立の趣旨に賛同する従業員らが、この一週間で百数十人に配布。約百人から回答があったが、数十人分が会に届いておらず、手元にある六十三人分について、まとめた。