武雄市は20日、赤字経営が続く「武雄市民病院」の民間移譲を柱とした改革ビジョンを発表した。民間医療法人を公募し、6月下旬には移譲先を決定する方針。移譲の時期は10年2月としている。
同病院は、地域の救急医療や診療体制の充実を掲げ、00年2月に開設。06年度には急患対応で計748台の救急車を受け入れるなど、2次救急医療機関として役割を果たした。
しかし、医師不足で今年4月からは救急搬送を休止。診療は平日午前のみとなった。赤字会計も常態化し、累積欠損金は6億955万円。診療、経営ともに危機的状況だ。
市は改革ビジョンを立案する中で、同病院の地方独立行政法人化も検討したが、医療スタッフの充足や地域医療機関と連携しながら適切な医療サービスを提供できるようにしたいとの思惑から、民間医療機関への移譲が適切と判断した。
同病院は07年度まで12人いた医師が減り、現在は7人、さらに6月には2人が退職の意思を示している。
このため公募にあたっては、移譲決定から実際に移譲までの間に不足する医師を派遣(2~3人)することが条件。
また、常勤医師の一般公募も並行して行い、段階的に12人まで増やし、救急搬送受け入れ体制を早期に整えたいとしている。現在の職員は希望があれば雇用が継続される。
樋渡啓祐市長は「新病院には、夜間・休日の診療などを引き受ける後方支援を期待している」と話した。【原田哲郎】
毎日新聞 2008年5月21日 地方版