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ポスト京都議定書

2008年05月21日

 日本がホストを務める北海道洞爺湖サミットまで1カ月あまりとなり、「ポスト京都議定書」を見据えた二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの削減策の主導権争いが活発化している。

 主導権をとるには、まず京都議定書で定められた削減義務の達成の見通しを早期に示すことが急務だ。しかし現在、日本は非常に苦しい状況にある。

 12年までの5年間で90年比6%を削減する目標に対し、06年度の日本の排出量は逆に6.4%増加した。

 一方、パーセンテージで日本の倍以上の12.5%の削減を義務付けられている英国は、05年度までに15%の削減を達成している。

 日本の削減量を分野別にみると、とくに流通業界やオフィス、家庭で削減にめどがついていない。

 英国では家庭での排出量が大きく減り、目標達成に貢献しているという。日本でも今後、家庭での温室効果ガス削減をいかに進めるかが目標達成のポイントとなる。

 欧州の施策は、太陽エネルギーなど代替エネルギーを使用する機器や、省エネタイプの電気製品に対する付加価値税を大幅に減額している。国民が様々な行政手続きで移動しなくてすむよう、電子政府への取り組みも積極的に推進するなど政府が一体となった取り組みが目立つ。

 しかし日本では、たとえば省エネルギーを導入する際の優遇税制が不十分であるなど、いまだに一体となった取り組みは見られない。

 日本車や電気製品、工場設備が海外で広く削減に貢献している一方、日本国内で削減が進まない皮肉な状況。これを率直に受け止めて、一丸となった施策の立案、実施を期待したいものである。 (H)

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