医師不足が深刻になる中、県が単独で実施している、離職した医師の現場復帰を支援する研修制度の利用が進んでいない。制度導入から今年で3年目になるが、過去2年間での利用実績は1人だけ。県が離職した医師に直接働きかけたくても、個人情報の壁があり、有効な手立てがないのが現状だ。「病院や医師会を通じて、制度利用の協力を呼びかけていきたい」と話している。
制度は、出産や育児のために離職したり、定年退職した医師を対象に、県内の病院で30日程度、患者の診療などの研修を行うという内容。県が応募者の希望を聴いて、研修先の病院をあっせん。研修後に、その病院と条件が合えば就職してもらう。
初年度に、呼吸器内科の女性医師1人が研修を経て、県内の病院に就職したが、昨年度は応募がゼロ。「募集は非常勤も含めている。特に女性医師の応募を期待しているのだが……」とお手上げ状態だ。
今年度も来年1月まで募集する。問い合わせは医療人材室(054・221・2434)まで。【松久英子】
毎日新聞 2008年5月21日 地方版