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5 月 20 日 (火)  
5/20(火)20:00更新
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民法規定で無戸籍 法相に要望
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女性が離婚して300日以内に出産した場合、戸籍上、前の夫の子どもと推定する民法の規定が障害となって戸籍がない子どもの親たちが鳩山法務大臣と面会し、離婚前に、後に再婚した夫との子どもを妊娠した場合も、実の父親の子としての出生届けを認めるよう要望しました。

申し入れを行ったのは兵庫県の井戸正枝さんら10人で、20日午前、法務省を訪れて鳩山法務大臣と面会しました。
いわゆる民法の300日規定をめぐっては、去年5月から、女性が離婚して300日以内に出産した場合でも離婚後に妊娠したことが確認できれば、再婚した夫の子としての出生届けが認められるようになりました。
しかし、離婚前に妊娠した場合は、戸籍上、前の夫の子どもとなるため、母親が出生届けを出さず、戸籍がない子どもが問題となっています。
このため、井戸さんらは「夫の暴力などの理由で、離婚したくてもできない場合もある」などと実態を説明し、やむをえない事情がある場合は、離婚前に、後に再婚した夫との子どもを妊娠した場合も、実の父親の子としての出生届けを認めるよう要望しました。
これに対し、鳩山大臣は「論点が多い問題なので、方針が決まっているわけではないが、子どものことを中心に考えなければならない。虚心たんかいに受け止めたい」と答えました。
民法が障壁 親子で無戸籍か
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女性が離婚して300日以内に産まれた子どもは戸籍上、前の夫の子どもと見なす民法の規定が障害となって戸籍がないまま暮らしてきた兵庫県の27歳の女性がまもなく出産を迎え、生まれてくる子どもも戸籍を得られない見通しになっていることがわかりました。
法務省によりますと、2代にわたって戸籍が得られないのは異例だということです。
出産を予定しているのは、兵庫県に住む27歳の女性です。
50代の母親が、前の夫の暴力が原因で離婚し、その73日後に女性は生まれました。
実の父親は母親がその後再婚した男性ですが、民法では、離婚して300日以内に出産した子どもは戸籍上、前の夫の子どもと見なす規定があることや前の夫に住所を知られたくないといった事情から母親が出生届けを出さなかったため、女性には戸籍がありません。
女性は、去年の夏から男性と結婚生活を送っていますが、戸籍がないため婚姻届けは出せませんでした。
女性は来月の出産を控え、地元の自治体に相談しましたが「母親に戸籍がないので生まれてくる子どもの出生届けを受理するのは難しい」と言われたということです。
法務省民事局は「戸籍のない人が出産する例は今まで聞いたことがない。何らかの対応ができないか、検討したい」と話しています。
戸籍がない子どもの親たちでつくる「家族の会」の井戸正枝事務局長は、「親子がともに戸籍を得られないような状況を変えるには、民法の規定を根本的に変えるしかない」と話しています。
300日問題 救済は15%
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法務省によりますと、離婚のあとの妊娠に限って特例が認められてから1年間で、全国では472人の子どもの出生届けが受理されました。
国は離婚から300日以内に生まれる子どもは年間およそ3000人に上るとみており、特例で救済されたのは、わずか15%余りにすぎないことが明らかになりました。
大半を占めるとみられる離婚前の妊娠で生まれた子どもについては、現在は家庭裁判所の調停で戸籍を変えないかぎり、実の父親の子どもとは認められません。
こうした手続きには、前の夫の協力が必要ですが、拒まれることも多いうえ、妻が前の夫の子どもとされるのを嫌って出生届けを出さず、戸籍のない子どもが問題になっています。
※このニュースは5月20日20時00分時点でのものです。
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