韓国造船業界、LNG船設計技術開発に成功(下)
◆「シワ」で膨張・収縮に対応
これを防ぐため、LNG船は温度の変化に対応できなければならない。LNG船設計のポイントは、何度となく繰り返される膨張と収縮に対し、いかに船体が耐えられるようにするかだ。現在の技術では金属の膨張・収縮自体をなくすのは不可能だ。フランスGTT社は、「膨張と収縮は避けられない」という前提の下、これを船体が吸収する設計技術を開発した。
LNGを貯蔵する貨物倉の表面には、一定の間隔を置き、折り目のある個所がある。この折り目の間隔は34センチ。温度が上がり、貨物倉が膨張すると、この折り目が広がる。温度が下がり、収縮すれば折り目は再び狭まる。まるでバネを伸ばしたり縮めたりするような仕組みだ。
だが、独自の設計技術を開発した韓国造船業界は別の方式を採用した。全長140センチの楕円(だえん)形の折り目を貨物倉の所々に入れ、LNGの膨張と収縮に柔軟に対応できるようにした。韓国ガス公社のヤン・ヨンミョン博士(49)は「韓国の造船業界が開発した方式にすれば、貨物倉の鋼板の厚みを薄くでき、製造コストも減らせる。また、工程もシンプルにできる。このため、生産単価が押さえられるので、世界のLNG船における韓国造船業界のシェアはさらに高まるだろう」と話す。
◆気化するガスを逃すな
LNGはマイナス162度で一定に保たれても、一部は気化してガスになってしまう。1日に蒸発するLNGの量は全体の約0.13%。7万トンのLNGを積み、運搬している船なら1日90トンが消えてなくなる計算だ。1トン当たり60万ウォン(6万円)とすれば、1日に5400万ウォン(約540万円)の損失が発生することになる。
これを防ぐため、貨物倉の上部には気化したLNGを集める装置が取り付けられている。焼き肉屋で煙を吸い込むレンジフードのような装置だ。このガスは航海に必要な燃料として使用される。
LNG船は天然ガスを燃やして湯を沸かすスチームエンジンを使用している。エンジンの種類にはいろいろあるが、中でもスチームエンジンは広いスペースを取り、エネルギー効率もあまり良くない。にもかかわらず、ハイテク船であるLNG船でスチームエンジンが使われているのは、このように気化した天然ガスを利用するためだ。
LNG船内で天然ガスを簡単に液体にする再液化技術も最近開発された。この技術があれば、航海中に気化した天然ガスを燃料として利用する必要はなく、効率のいいディーゼルエンジンを使うことも可能になる。再液化技術の国産化はまだなので、韓国の造船業界は開発に乗り出したところだ。
チョ・ホジン記者
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