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日本代表の岡田武史監督(51)が敗北の許されないW杯アジア3次予選4連戦に向け、非情な鬼と化した。キリン杯、W杯予選に向けた20日の名古屋合宿初日、過密日程で消耗激しい選手に対し、指揮官は当初1時間だった練習終了予定を2時間に一気に倍増。重度の両足首ねん挫に苦しむ浦和DF阿部勇樹(26)にも帯同を命じるなど、負ければ3位転落となるオマーン戦(6月2日・日産ス)へ向け、なりふり構わない強行姿勢を打ち出した。
ピッチを見つめる眼鏡の奥が鋭く光った。腕を組む満身には殺気すら漂う。
「勝つためのメンバーで勝つためにやっていく。チームで戦う。甘さを排除して厳しさを持ってもらいたい!」
20日午後6時にスタートした名古屋合宿の冒頭の円陣。岡田監督は代表23人にこう厳命した。
いきなり打ち出したのは、非情なまでの勝利至上主義。3月26日の敵地バーレーン戦でぶざまな完敗(0―1)を喫した。現在、最終予選通過圏内ギリギリの2位。次戦のオマーン戦で負ければ3位に転落する。「オレの好きなようにやる」オレ流貫徹を明言した指揮官は過酷指令を連発した。
「止まるな! ボールを取られた後に取りに行け」
黄金週間のJリーグ過密日程明けで疲労困憊(こんぱい)の選手には4対4のミニゲーム中に膨大な運動量を要求した。そして、練習開始1時間半。練習終了。クールダウンのランニングに突入したはずだった。しかし「まだ半分あるぞ!」スタッフが通達すると何と練習再開。激しいハーフコートのミニゲームが何度も繰り返された。
「あれはびっくりしました。一度すね当てを外してしまいましたからね」MF長谷部誠(24)も言葉を失ったほど。「思った以上にハードなメニューになった」静かに振り返った指揮官だが、完全別メニュー調整となったDF阿部にも冷酷な岡田イズムを注入。阿部は両足首に重度のねん挫を抱えており、17日のG大阪戦で悪化させた右足首の状態は最悪。関係者によると、本来完全休養が必要だが、首位浦和で獅子奮迅の活躍を見せるエースを指揮官は欠かせない存在だと判断。合宿強行帯同を打ち出した。「練習にいつ合流できるか分からない。でも、キリン杯もやれるならやります」妥協の2文字を知らない阿部も指揮官の要求に不退転の覚悟を示した。すべては勝利のため。背水の岡田監督が苛烈なムチを振り続ける。
殺気
◆最近の代表監督の闘魂注入
▽トルシエ監督 01年4月10日、強化合宿で選手に故障も辞さない激しいプレス練習を要求。左足首を負傷したDF森岡(現京都)が指揮官にスパイクを投げつける事態となった。
▽ジーコ監督 ドイツW杯中の06年6月15日、オーストラリア戦で敗戦後、練習中に先発組を集めて激怒。「これじゃ駄目だ! オレたちはW杯を戦っているんだ! 今回、負けたら終わりなんだぞ!」と怒り。ピッチ内での雷はこれが最初で最後。
▽オシム監督 ドローに終わった07年7月9日のアジア杯1次リーグ初戦、カタール戦終了後、ロッカールームで選手を名指しで批判。「お前らはアマチュアじゃないか! オレはプロだからこの試合に死ぬ気で懸けていた」と説教し、通訳が号泣する異常事態に。
(2008年5月21日06時02分 スポーツ報知)
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