韓国  2008年5月21日（水曜日）
生活物価が世界最高水準、スタバはG7の1.6倍［経済］

世界的な物価高が続く中、韓国の生活物価は世界最高水準であることがスイスの国際経営開発研究所（IMD）や韓国消費者院の調べで明らかになった。政府は生活必需品を中心とした物価安定策を打ち出しているが、効果は上がっていない。4月の消費者物価は前年同月比4.1％上昇し、3年8カ月ぶりの上げ幅となった。

IMDが発表した世界競争力報告書によると、韓国の生活費指数（2007年基準）は122.4で、調査対象55カ国・地域中、生活費物価が最も高かった。

同指数は米ニューヨークを100とし、世界の都市の商品やサービス、住居費を指数化して国別の生活費水準を評価したもの。韓国の生活費物価は全体の平均（86.3）より40％以上高かった。企画財政部（旧財政経済部、企画予算処）の関係者は「特に住居費が全体の生活費を引き上げた」と話している。

■G7より割高

韓国消費者院は、消費者の生活に密着した品目を中心に先進7カ国（G7）との比較調査を実施。平均為替（4月28日〜5月2日基準）とOECD（経済協力開発機構）が2月11日に発表した購買力平価を基にした。今回の調査では、平均為替が1米ドル＝1,003ウォン（約99.76円）、購買力平価が749ウォンとなっている。

生活に密着した品目としては、購買力平価で比較すると、スターバックスコーヒーがG7平均の1.6倍、缶ビールが1.8倍、100％オレンジジュースが1.5倍だった。韓国の販売価格を100としたとき、スターバックスコーヒーは米国が68.4、英国が61.0、ドイツが67.5、フランスが80.2、日本が57.2、カナダが51.4。缶ビールは米国（44.3）、英国（66.9）、ドイツ（54.4）、フランス（33.7）、日本（65.6）、イタリア（44.0）、カナダ（71.9）と7カ国すべてが韓国より安かった。

消費者院によると、スターバックスコーヒーの場合、韓国は店舗の賃貸料が高いことやロイヤルティーとして売上高の5％を支払わなければならないことが販売価格に影響しているという。

■ゴルフ料金は2.3倍

富裕層の利用が多いゴルフ場のグリーンフィーはG7平均の2.3倍に上った。ドイツ（23.8）やフランス（25.4）、イタリア（31.9）とは3倍以上の開きがあり、G7の中で2番目に高い日本（68.9）や米国（67.5）に比べても割高だった。この差は、休日にゴルフを楽しみたい日本人駐在員にとっても懐が痛いところだ。

韓国のゴルフ料金が高いのは、高い税金やゴルフ場の高級マーケティングが要因。このため韓国人の海外ゴルフ旅行も増加し、サービス収支の赤字拡大につながっている。昨年のサービス赤字は2006年の189億6,000万米ドルから205億7,000万米ドルに膨れ上がった。

■政策の効果は？

李明博政権は今月初め、今年3回目の物価安定策を発表。生活必需品100品目について輸入単価を公開することを決めた。原産地別、ブランド別に公開し、消費者が輸入単価と国内販売価格を比較しやすいようにするという。また、並行輸入を活性化させ、価格競争を促進させる方針も固めた。

世界最高レベルにまで上昇した物価を安定させられるか。物価の高騰は駐在員の生活にも密接に関係するほか、消費萎縮で企業の経済活動にも影響を与えることから、今後の政策や物価動向に注目する必要がありそうだ。